アレクサンダーテクニークとはなにかということをいろいろな角度から説明します。
不調や伸び悩みの原因をどのようにとらえるかという視点から
アレクサンダーテクニークとは
- 活動中・活動後の違和感・痛み・ひどい疲れのなど不調、
- 練習しているのになかなか上達しない、パフォーマンスそのものの質の低さ
- 大事な場面での過度な緊張やあがり症などの課題(ステージ・フライト)
の原因が、使いすぎtoo use, over useにあるのではなく、使い方の誤りmiss useにあることに注意を向ける、自己の使い方use od the selfの教育法・学習法です。
ここでいう自己とは、人間の内面の働きである「こころ」と、身体とも呼ばれる「からだ」と、霊性(スピリチュアリティ)を統合された一体として捉えたものです。
自己の使い方の核心にあるのは、私たちの刺激に対する反応です(後術を参照してください)。
私たち自身をじゃまする癖をやめる方法
アレクサンダーテクニークとは、
①私たち自身が知らないでやっている、私達自身をじゃまする癖と、
②よかれと思ってやっている生活習慣(例えば鋳型に押し込めるように姿勢を正す等、困った結果につながることについて気づいていない習慣)
とをやめる方法だです。
①は。例えば何かをしようとするときに、ほとんど反射的に身を縮めることです。
具体例:
- 右を向こうとするときに、頭を胴体に向かって押し下げる。
- 椅子から立とうとした瞬間に腰を前に押し出す。
- 管楽器を構えるときに背中を反る。
- 管楽器を構えるときに、笛口に口を近づける。
- 打鍵の瞬間に脇の下を過度に押し下げて、音の響きがなくなる
②の具体例
- 正しい姿勢をしようとして、頭を後ろに引きすぎる
- 巻き肩を解消しようとして、肩を後ろに回して、さらに押し下げる
- 猫背にならないようにするために、胸を張りすぎて、背中側を固める
- 演奏家によくありがちなのは、重心を下ろそうとして、全体を押し下げて固める
- 声楽家や管楽器奏者にありがちなのは、お腹に息を入れようとして、呼吸困難になる
- 力を抜こうとして、脇の下を押し下げて、かえって胴体から腕に向かう筋肉が固くなる
2の具体例の際に実際に起こることは、①と異なりません。
したがって、以下では1と2をまとめてくせと呼んで扱います。
くせは悪いもの、悪者、敵なのか?
私たちがやっていることには、なんであれ理由があります。そのきっかけとなった出来事の際には、必要な動きだった可能性はもちろんあります。
けれど、それが日常の至る場面で現れるようになって、状況とミスマッチが起こってしまい、結果的にいろいろ困ったことが起きてしまうことがあります。
だから、くせが悪いもの、悪者、敵だからやめましょうというのではなく、現在の状況にミスマッチに現れることがあるので、やめましょうと申し上げます。
くせによって生理学的に起こること
本来私たちは、全身を協調させて、自由に伸びやかに動くことができます。
その際には反対のお仕事をする筋肉には相反抑制(そうはんよくせい)という機能が働きます。
たとえば、走るときには
- 太ももを前に持ち上がるとき、お腹側から太ももに向かう筋肉は緊張しますが、背中側から太ももに向かう筋肉は緩みます。
- 後ろに蹴るときには、お尻の方から太ももに向かう筋肉は緊張しますが、お腹側から太ももに向かう筋肉は緊張します。※
※実際には、蹴る直前にお腹側から太ももに向かう筋肉と、お尻から太ももに向かう筋肉が一瞬同時に収縮する共収縮(同時収縮)が起こり、バネのように太ももが弾かれるように動くが、話が複雑になりすぎるので、ここでは割愛する
ところが、実際の生活のなかでは
- 太ももを前に持ち上げるあいだ、ずっとお尻から太ももに向かう筋肉が緊張し続けていると、(ブレーキがかかっているのと同じなので)太ももが重くなり、すばやく太ももを前に持ち上げることができなくなる
- 後ろに蹴るうごきのあいだに、お腹側から太ももに向かく筋肉が緊張し続けていると、(ブレーキがかかっているのと同じなので)すばやく後ろにけることができなくなる
ということが起こりがります。
その際に起きている癖とは、外見上”押し下げ“pulling downとして観察されます。
生理学的に言えば、このとき主働筋肉と拮抗筋が生理学上の共収縮(同時収縮)し、関節周辺が固まって、全身の流れるような働き(動いているあいだ、動きは切り替わり続ける=主働筋と拮抗筋が入れ替わり続ける)が阻害されます。
生理学上の相反抑制が働かなくなる原因
- からだ全体や部分を押し下げると全身の筋肉が緊張し、主働筋と拮抗筋が同時に緊張しがちだから
- 実際には曲がらないところから曲げようとする=脳のなかの身体地図が誤ったところを指さしているから(ボディマッピングの誤り)
- その他のなんらかの理由
- 交感神経が働きすぎている’(筋交感神経活動」
- 副交感神経が働きすぎている
- その他トラウマティックな反応
プライマリー・コントロールを取り戻す方法
アレクサンダー・テクニークとは、このような困った問題や課題を引き起こす癖をやめていくことによって、流れるような全身の働き、すなわちプライマリー・コントロールの働きを取り戻す方法です。
プライマリーコントロールに関する一般的な定義は下記に。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみの個人的な考えは下記をご参照ください。
アレクサンダーテクニークの方法
では、どのようにして、癖をやめて、プライマリーコントロールの本来の働きを取り戻すかというと
なにか動きを始めようとした瞬間に、あるいはなにか動きが大きく切り替わる瞬間に、動きの起こり・切り替わりという刺激に対する、私たち自身の反応を変えることよって、癖をやめてゆきます。この刺激に対する反応を変えることは、自己の使い方の骨子ですし、狭義の自己の使い方はこの刺激に対する反応を変えることです。 刺激に対する反応が変わると、動きが変わり(負荷が少なくなり)、結果的に神経・筋肉・骨格・なども変化します。そのような変化した構造のを持った私たちの刺激に対する反応が変わると、動きが変わり(負荷が少なくなり)、結果的に神経・筋肉・骨格なども変化します。そのようにして、螺旋(ラセン)状の変容が起こり始めます。
このような刺激に対する反応を変えていく手段は、私たち自身に余裕を与えること(インヒビション)とディレクションです。これらの方法論の詳細については実際にレッスンで学ぶことと日常での実践を繰り返す以外に身につける方法はありません。文章でなにか参考にされたい方は、アレクサンダーテクニークの7つの原理をご参照ください
この実際に癖をやめていくプロセスはどういうものか、つまりアレクサンダーテクニークは、どのようにして身に着けていくかというと、2つあります(教師になる方には3つあります)。
(1)学習者が、よりプライマリーコントロールを発現させることのできる教師とともにいて、教師が手と言葉を使って指導していくなかで、全身が協調して活動できる状態、よりプライマリー・コントロールが働く状態を経験を繰り返すことによって、身につけてゆきます。より気づきが深い教師と一緒にいることで、気づきの下駄を履き、どちらに向かうのかを先んじて体験します。
(2)そして学習者自身が日常で実践する。日常での実践とレッスンを繰り返すことによって、日常でひとり確実に伸びやかに活動できるようになっていきます。
(3)さらに教師になる人は、確実に学習者(生徒さん)のプライマリー・コントロールがより働くように導くことができるように深く学びます。
この気づきのプロセス、すなわちアレクサンダー・テクニークは、 オーストラリアのタスマニア島出身のF.M.アレクサンダー(1869-1955)が発見し、体系づけ、そして彼の弟子たちや更にその弟子たち、そして更にその弟子たちによって現在進行形で発展中です。
効果からみたアレクサンダー・テクニーク
アレクサンダーテクニークは、私たちの活動中、特に動き始める時や動きが大きく切り替わる時に現れる癖(くせ)=私たち自身を損なう心身の動きをやめていくことによって、私たちが本来持っている可能性を私たち自身が引き出してゆくワークです。
こちらのページもご参照ください。
学びと日常での実践を通じて、次のような効果が期待できます。
- 「からだ」を思いどおりに動かすことができるようになる。
- 表現力が豊かになる。
- 運動能力が向上する(敏捷性が増す)
- ストレスに強くなる。
- 舞台の本番でのあがり症や緊張することに有効に対処できる-自分自身で直すことや、克服する方法や、軽減する方法を学びます。
- 肩こり・腰痛などが軽減する(腰痛に関しては、医学的に効果が証明されています)。
- 「からだ」と「こころ」が快適になる。
- 雰囲気が洗練され、若返る。
- 男性の場合は、見た目のオタクっぽさがなくなる。
- 女性の場合は、スタイルがよくなる。美しくなる。




講師かわかみ ひろひこ のレッスンの特徴
講師の かわかみ ひろひこ のレッスンの特徴は次のとおりです。
アクティビティー・レッスン
実際にアレクサンダーテクニークを活動に実践することを通じて、課題を解決していくことを重視します。 活動とは、楽器の演奏・パソコンの操作・ボディセラピーの施術・お料理や皿洗い・赤ちゃんを抱っこする・ハイヒールを履く・・・etcです。 また芸事の先生からいただいた、意味の分からないアドバイスの謎解き=解読方法をお伝えいます。
アレクサンダーテクニークの導力アスペクトを重視
導力アスペクトはかわかみの造語。
「からだ」の中の力の通り道を開いていくワーク。
例えば
ピアノを演奏するとき
バイオリンやビオラやチェロなどの弦楽器の演奏で、弓の重さを楽器に伝えるとき、
パソコンの操作するとき
アロマテラピーやタイマッサージで施術するとき
地面から、あるいは胴体から腕・指先を通して力を伝え
相手や楽器から戻ってくる反作用の力を、瞬時に全身に分散する方法です。この方法を学ぶことによって、活動中に「からだ」に掛かる負担を減らし、「からだ」の違和感や怪我や故障を防止する効果があります。
筋肉の螺旋構造の生かし方も学びます。
からだにリアリティを取り戻す体験型ボディマッピング
アレクサンダーテクニークのベテランの教師で、ボディマッピング創始者ウィリアム・コナブル博士から学んだ考え方や手法を独自に深化させています。
「からだ」にリアリティを取り戻すことによって、本来の力強さや靭やかさを取り戻します。
内臓のボディマッピングには、舞台の本番やここ一番に不必要な緊張や”上がり”を防止する効果があります。
舞台の本番やここ一番という場面で、実力を発揮できる対策
伝統的な手順から新しきを学ぶ
アレクサンダーテクニークの伝統的な手順を学ぶことによって、新しい気づきを得ます。 また伝統的な手順を踏むことで、やめていく癖(くせ)の網羅性を担保します。