レッスンのご報告:4月13日(水)東京アレクサンダー・テクニーク夕方クラス

4月13日(水)夕方グループレッスン
4月13日(水)夕方グループレッスンの記念写真

一昨日の4月13日(水)18時20分から、東京荻窪にて、アレクサンダーテクニークのグループレッスンをしました。

 

いらしたのは、

5回目のピアニストの方

2回めのあるメソードの指導者の道を歩き始めた方

ベリィダンサーの方(初回)

看護師でオステオパシーをされる方(初回)

お子さんのために施術を学ばれる方(初回)

 

 

皮膚ボディマッピング「皮膚、皮膚。。。」からスタート。
私たちの立体的輪郭に対する認識が深まることによって、「からだ」が暖かくなり(強張り-筋緊張が減り、血行がよくなるため)、より「からだ」の存在に気づくことができるようになり、動くが軽くなることを確認していただきました(例として取り上げたのは、足関節の背屈)。

 

 

その後おひとりずつ、頭の動き、腕を下ろしたり、上げたり、立ったり、座ったり、歩いたりというのをご経験いただきました。

 

そして、みなさんがお持ちになったアクティビティや質疑応答へ。

 

ベリィダンスの方の「音楽に夢中になると、胴体を大きく反らせたり。。。などの不都合なことが起こる」と。

スーフィー的意識の5段階説
スーフィー的意識の5段階説

そこで、井筒俊彦先生が「イスラム哲学の原像」でご紹介されている、スーフィーの意識の5階層説をご紹介させていただきました。

 

井筒俊彦先生のご研究によると、キリスト教やインドのウパニシャッド哲学や禅も同じ構造を持っています。つまりスーフィーにとどまらず、これは”霊性の哲学“や瞑想や意識の普遍的な構造を明らかにした説だということができます。

 

こういったことは、本来音大や美大では必須科目として学ぶ必要がありますが、残念ながらそうなっていません。日本では教養レベルでも、欧米では学力レベル知識というのがありまして、この”霊性の哲学”を理解しないで、欧米やイスラムや日本の藝術を理解するのは不可能です。
科学偏重教育というのは、問題が大きいのです。

 

 

マインドフルネスを含め、瞑想ではその階層に沈潜または没入してゆき、主体と客体の区別のない世界(悟りの境地)に行き(禅の向上道)、その後ふたたび沸き立つ世界に戻ってくる過程(禅の向下道)を経て、悟る前とその後で、別の存在になるという体系です。

 

しかし、演奏やダンスなどの表現活動や、看護や介助や、施術に際して、経験的世界から離れて悟りの境地に行くことはできませんし、不適切な方法です。

 

分節して現れるディレクション
分節して現れるディレクション
アクティビティ-)拡大図
アクティビティ-)拡大図

もちろんもっとも表層の私たちを乱暴に扱う意識の領域や、その1つ奥の善悪で判断(ジャッジ)する領域(アレクサンダー・テクニークのエンド・ゲイニングが起きる領域)よりも深い層から—この層でより深いところからやってくるインスピレーションを受け取るのですが—-、より浅い意識の領域や、アクティビティや観衆・聴衆・共演者を含めた経験的世界を含めて俯瞰することが必要になります。

 

私見では、第1世代のアレクサンダー教師フランク・ピアース・ジョーンズが”意識の統一場”と呼んだのは、このことです。

 

 

さて、NHK朝ドラの「あまちゃん」が放送されたときに、女優の宮本信子さんが「役に“入る”のではなくて、”近づく“のです」と、とても印象的なことをおっしゃっていました。

つまり女優 宮本信子さんは、その違いについてよく理解されているということですね。

 

もし、音楽や踊りに、あるいは介護でも、看護でも、施術であっても、それらに夢中になっている状態には、少なくとも2通り考えられて、

(1)とても粗雑な意識の状態で反射的に動いている場合と、

(2)全体を俯瞰している

場合です。

 

 

(1)と(2)に関しては、レッスン中は私の口からは説明しませんでしたが、この日受講されたピアニストの方が音楽に集中すると、頭や「からだ」が鍵盤に近づくという気づきに関するシェアリングと、実際の演奏も見聞きしながら、「さっき私が言っていたことといっしょだ」とご自分で気づいてくださいました。

 

ピアノ演奏に関して言うと、オクターブの連打などの難しいパッセージが続くと、私たちは頭を胴体のほうに押し下げ、胴体を潰し始めます。

そうすると、胸から腕に向かう筋肉も背中から腕に向かう筋肉が同時に緊張して、腕が動きにくくなるのと同時に、指先への血流も悪くなり、吸気筋の拮抗筋である広背筋が収縮して呼吸がしにくくなり、「力の通り道」が塞がれるので、「からだ」にダメージが残ります。

 

伸びやかになる必要があるのです。そのようにすると俯瞰する意識の状態に近づきやすくなります。

 

ベリィの方にはこの後踊っていただき、腕を動かすときの鎖骨や胸骨の動きに気づいていただき、肩甲骨は”外に上に”と思っていただきました。動きが軽くなったそうです。たぶんもっと行けるはずですが、今回は時間切れです。

 

看護師さんとはトランスファー移乗動作について行いました。

 

あるメソードの指導者の方から、皮膚のボディマッピング「皮膚、皮膚。。」の目的を質問され、小さな刺激に対して自律神経系が過剰に反応しすぎて活性化するのを少しずつ改善するためと、許容できる閾値を大きくしていくためと回答しました。

 

 

 

次回の東京の水曜日の夕方のクラスは、5月11日(水)です。詳細はこちらに。

 

東京での個人レッスンは、ほぼ毎日行っています。詳細はこちらに。

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かわかみ ひろひこアレクサンダーテクニークの学校 代表
第3世代のアレクサンダーテクニーク教師。2003年より教えている。 依頼人である生徒さんへの共感力、課題改善のための活動の動きや言葉に対する観察力と分析力、適確な指示、丁寧なレッスンで定評がある。
『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』、『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』(ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)の著者。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのプロフィールの詳細