ピアノを演奏する姿勢のビフォーとアフター:アレクサンダーテクニークのレッスン
次の2枚のピアノを演奏中の写真を見比べてみましょう。向かって左側がアレクサンダーテクニークのレッスン前のビフォー、向かって右側がアレクサンダーテクニークのレッスン後のアフターの写真です。
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アレクサンダーテクニークのレッスンのビフォーの問題点
両方とも、2018年3月23日(金)札幌で行ったアレクサンダーテクニークのレッスンの写真です。
アレクサンダーテクニークのレッスンを受ける前の課題は3つあります。
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二の腕の動きの自由度が減り、しなりを使った奏法ができない
ビフォーは少し頭部を後方に引きすぎているため、首から背中側の筋肉が固くなります。それらの筋肉の一部は二の腕(上腕)に向かうので、ピアノ演奏の際に腕にブレーキがかかります。
ピアノを演奏するときには、二の腕の動くが鍵になるしなりを使った奏法が鍵になりますが(ピアノのしなりを使った奏法、『ピアニストの脳を科学する』春秋社、『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス 参照)、その動きができなくなるので、演奏には不利になります。
呼吸が制限されるので、演奏に必要な力強さがなくなります
また、斜角筋や胸鎖乳突筋は、息を吸うときの吸気の補助筋として働きますが(肋骨を上に引き挙げる)、頭を後ろに引きすぎるとそれらの筋肉が緊張して、もはや呼吸の補助筋として働かなくなります。
そのため、呼吸が制限され、演奏に必要な力強さがなくなります。
呼吸と演奏に必要な力強さについては、別のコラムを参照してください。
首の筋肉である胸鎖乳突筋が緊張すると全身が固まりやすい
首の筋肉である胸鎖乳突筋が緊張すると、全身の筋肉が緊張しやすくなります。
理由は2つ。
運動学の概念に抗重力筋という概念があります。全身に前後に張り巡らされた身体を重力方向に一致させて支えるための筋肉ですが、胸鎖乳突筋も抗重力筋の一部のため、胸鎖乳突筋が緊張すると、全身が緊張しやすくなります。
また胸鎖乳突筋は第11脳神経(副神経)支配ですが、胸鎖乳突筋が緊張しすぎているときには、副神経が演奏に適した働きをしません。自律神経の学説ポリヴェーガル理論によると、副神経の働きは、他の腹側迷走神経複合体を構成する神経に影響を及ぼすため、自律神経全体が演奏に適さない状態になります。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこが提案する解決のための方法
頭部の重心を、頭蓋骨と背骨のあいだの関節(環椎後頭関節)から”前に上に”解放することによって、腕は自由な動きを取り戻します。
また、胴体の奥行きに適切に注意を向けると、胴体の背中側と側面と正面の筋肉が適度に解放され、股関節も解放されます。
2018年3月23日(金)札幌のレッスンの全体のまとめは、下記のリンク先をご参照ください。
お悩みのあるピアノ奏者の方は、次のリンク先をご参照くださいませ。
ピアニストの方に-演奏中の腕・肩・首・腰への負担を減らしたい方、運指を改善されたい方、オクターブの連打が苦手な方、重量奏法・重力奏法を身につけたい方
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