ピアノの先生のなかには、「手首を柔らかく」とご指導される方がいます。

そのようにご指導を受けて、手首をグニャグニャにしたら、ピアノが演奏できなくなって、私のアレクサンダーテクニークのレッスンにお見えになる方が、たまにいらっしゃいます。

 

おそらくその生徒さんがピアノの指導者の方の指示を誤解されたのでしょう。しかし、そのピアノの先生たちが、彼ら彼女らの先生の先生が、あるいはピアノを自由に演奏できる誰かが、「手首を柔らかく」という言葉を使っていったい意図していたことはずっと謎のままでした。

たまたまお近づきになった、本当に演奏の素晴らしい何人かのピアニストの方たちは、「手首をやわらかく」とはおっしゃらなかったので。

 

 

あれはナンセンスな指示なのだろうかと思い始めた頃、「弟子から見たショパン」が出ました。

 

ショパンは当時のヨーロッパの、「巨人の星」の大リーグ養成ギブスのようなものを使って若い演奏家たちを指導を受けるやり方に批判的で、ピアノ演奏の教育のために原稿を残しましたが、その中で「手首やわらかく」と書いているのです。

。。。謎は深まるばかりでした。

 

 

謎が消えたのは数ヶ月前。以前「ピアノ演奏のテクニック」を読んで、腕の重さを使って演奏すると俗に言われているのは(つまりいわゆる重量奏法重力奏法のことですが)、全身に力の通り道を開いて、指先から受け取った鍵盤からの反作用の力(反力)を瞬時に全身とからだの外側に分散することを学んだことについて書きました。

 

憶えていらっしゃるでしょうか? 詳細はこちらをご参照ください。

 

そして、「手首を柔らかく」はその指示の一部であったことに、ようやく気づいたのです。つまり鍵盤に作用する力も、鍵盤からの反力も、手首を通り抜けてゆくのを止めない。そういう意味だったのです。

 

ようやく気づきました。

 

 

こうやって、1歩ずつ進んでいます。