もし、ピアノの先生から
「しっかり強く弾きなさい」
「指の独立ができていない」
「指が弱い」とご指摘をいただいて、
そのご指導の結果、どこかが痛くなったら、


できるだけ速やかにアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けるか、
あるいは
ピアノの先生を変えた方がよいでしょう(できれば、複数の海外のコンクールで入賞歴のある方で、かつ鍵盤に指を押しつけないで演奏できる方に)。

ヨーゼフ・ガートというリスト学院の先生だった方が、著書「ピアノ演奏のテクニック」(音楽之友社 絶版)で、腕の重さで演奏するということについて、書いています。

実は半分だけしか説明していないのですが、この半分がとても重要なのです。

その部分を行間を補い、分かりやすくすると、おおよそ次のような内容です。

♪♪♪♪ ここから ♪♪♪

世に「腕の重さでピアノを弾く」という指導がよく行われているが、どうやらあまりきちんと理解されていないらしく、混乱が起きている。

鍵盤に向かって指を押し付けることを強要するようなレッスンも行われているようだ。

もちろん、「腕の重さで演奏する」とは、鍵盤に指を押しつけることではない。

実は指が鍵盤に触れた瞬間、鍵盤から反作用の力が指に向かってくる。

その力を指で受け取ったら、指を痛める。
その力を手首で受け取ったら、手首を痛める。
その力を肘で受け取ったら、肘を痛める。
その力を肩で受け取ったら、肩を痛める。
その力をベルトのあたりで受け取ったら、腰を痛める。※

そうではなくて、腕の重さで弾くとは、指で受け取った反作用の力を瞬時に「からだ」全体に分散させることだ。

♪♪♪♪ ここまで ♪♪♪

実際には、本文では「反作用」という訳語は用いられていません。
※までの5行は、私がかなり補っています。
ですので、実際にガートさんの本を読まないで、もしこの引用されたい方は、孫引用となりますので、私のこのブログも参考文献の1つに挙げてください。

ガートさんのこの文章を読んだときに、電流が走りました。

それまで、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けてくださった
ピアニストの方たちから、
痛くなくなったとか、
音がきれいになった
と言われて、

「そうでしょう。からだの使い方が変わると、ラクになり、音の響きが増すのです」
と答えて、お茶を濁していたのですが、実は私は釈然としませんでした。

いったい、物理現象として、なにが起きているのか? それを理解したい。

ガートさんの文章を読んで、その瞬間に理解したことは、
アレクサンダーテクニークの自分自身に余裕が上げて、方向を与えることで、
鍵盤からの反作用の力を瞬時に全身に分散できるから、うまくいくのだ。

そうだ。そうであるならば、アレクサンダー・テクニークを使うと、「からだ」の
中に力の通り道ができるのだということが分かりました※。

※ 以上の初出
ピアノ音楽誌『ムジカノーヴァ』2011年5月号
音楽之友社
「アレクサンダーテクニークの見地から考える 手の形と姿勢」
掲載ページ数:拙稿2ページ
ピアニスト辰巳京子氏との共同執筆
詳細な図解・譜例入り

ピアノ音楽誌『ムジカノーヴァ』2010年3月号
音楽之友社
「アレクサンダーテクニークで脱力が分かる」
掲載ページ数:拙稿5ページ
ピアニスト辰巳京子氏との共同執筆
写真・図解・譜例入り。

これは私がアレクサンダー・テクニークを教えてきて、いちばん大きな発見でした。
そして、このことはピアノの演奏以外のすべての活動に当てはまります。

アレクサンダー・テクニークのよって「からだ」の中に力の通り道ができるという発見は、私の様々な活動を教えるの力を向上させてくれました。

実際に指が弱い人もいるでしょう。
実施に指の独立ができていない場合もあるかもしれません。

でも、今どこかが痛いのでしたら、今までとは異なるアプローチを試してみるのも1つの選択肢としてお考えください。

6月中旬以降のレッスンの予定はこちらに。