2020年4月23日、アレクサンダーテクニーク教師の先輩で、現在オーストラリア在住のJaldhara Chanceさんが、かわかみのオンラインの個人レッスン(1時間強)を受けてくださいました。
最初にGraceちゃんが手伝ってくださいましたが、私のことはもう覚えていないだろうな。。。
Jaldhara Chanceさんは、
- マイケル・ゲルブさんの『ボディ・ラーニング―わかりやすいアレクサンダー・テクニック入門』(誠信書房 1999年)
- バーバラ・コナブルさんとウィリアム・コナブル博士の『アレクサンダー・テクニークの学び方―体の地図作り』(誠信書房 1997年)
- グレン・パークさんの『アレクサンダーテクニークによる変容の術』(誠信書房 1999年)
翻訳をされました(片桐ユズル先生との共訳)。
1998年9月にウィリアム・コナブル博士から受けた初回の個人レッスンの通訳をしてくださったのはJaldharaさんでしたし、私が在籍した教師養成コースにも教えに来られたことがありましたし、2008年にパリに日本人数名でグループで学びに行ったときに、迷子になった私を救出してくださったのもJaldharaさんでした(あのときは天使に見えました)。
ふたりのお子さんたちが小さかった頃は、たまにベビーシッターをさせていただきました。
以前は、スポーツやからだを動かすことをやっていらっしゃらなかったのに、かくし芸大会等でのパフォーマンスでは身体能力が非常に高いのが垣間見れて、とても不思議でした。
今回のレッスン開始前のやりとりでは、アフリカン・ダンスのアクティビティのレッスンというお話になっていまいたが、レッスンが始まると、ピアノになりました。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ココカラ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
今週、ひろひこさんのピアノのアクティビティレッスンをズームで受けました。
ピアノのアクティビティをしてもらいたかったのは、子どもの頃に身につけた初級レベルのピアノの曲をひとまえで落ち着いて演奏するにはどうしたら良いか、ということに関心があるからです。
最初は、ウォームアップとして、
- 体のいろんなところに『ふみふみ」と言いながら触れるエクササイズをしたり※1、
- 目に光がいろんなところから入ってくるというイメージのワークとか※2、
- 動かしにくい体の部分をハンガーでささっとふり払うとかをいうの※3
を指導してもらいました。
ウォームアップエクササイズが結構長かったように思いますが、レッスンでピアノの演奏をするためには、ウォームアップはとても効果的だったようです。カラダのいろんな部分が自由に動くことを確認してから自分の課題に取り組むことって大切だと思いました。
レッスンの中では、最初※4、ピアノの前にすわったときに太ももを撫でながら「ながい、ながい、ながい」と言ってください※5と言われたのでそのようにしましたー太もものことはあんまり意識してないのを発見。太ももは椅子に座るときにすごく大切なものだし、それがないとピアノの演奏ができない・・・と思いました。
しかし、いざ演奏することになると、オーディエンスはひろひこさんだけではあっても「ひとまえでピアノひくのが怖い」という感情がちょっとでてきました。それはピアノのトラウマ体験に関係があるんです。
子どもの頃、6歳から13歳までピアノ教室に通いつづけました。楽譜を読むのが苦手であるにもかかわらず楽譜を読むことを中心に行われるレッスンについていくのは苦難の道でした。
どうしても練習がはかどらない。
でも当時の先生は、そういう生徒に対して無理解。レッスン当日にはうまく演奏できませんでした。そのためにいつも怒られてばかりいて、間違えないように鍵盤に触れることに必死でした。練習に一番投げやりだった時に、鍵盤をバーンと叩いて怒られたこともありました。
ですが、ひろひこさんには、自分のピアノにまつわるトラウマ体験を知ってもらっていたことでなんとなく安心感がありました。そしてその安心感を頼りにしながら、ここ1週間以上練習してきたエルメンライヒの「つむぎ歌」の最初の1ページくらいを弾きました。
ピアノを間違えたくないという気持ちに支配されすぎて、縮こまってしまう私にしては、1ページも弾けたというだけでも夢のような世界。
演奏の様子を観察していたひろひこさんから「背中を意識してください」※6と指導されました。
「あ〜そうか、ピアノをひいているときは背中のことは全く考えてなかった!」
そこで次に演奏するときに、背中のサポートを意識してみました。大きな体でピアノを弾いているような感覚がおこり、ものすごい解放感があった!音にそれほど違いがあったかはわからなかったのですが、こころもからだもラク〜
次にカゴのような肋骨は一本一本前の方から後ろに向かって上方向へとあがっていって脊椎につながっているということを思い出すようにと指導されました。
3回目の演奏では、肋骨の方向性、背中が後ろにあって自分をサポートしてくれること、「太ももが長い」とおもっていると、ますます鍵盤を弾くのがたのしくなっていきました。
弾きながら、こんなに楽しくて、軽くて、体が大きくなってピアノを弾いてもいいの?」とまるできつねにつままれたような感じで演奏した。演奏がとても愉快になったので、ひろひこさんに見守られながら、曲を最初から最後まで演奏ましたーびっくりしました!
まさか、子どものときに苦手意識を持ちすぎてしまったピアノの演奏恐怖症を50歳になろうとしている今、こんなふうに解放できるときがくるとは・・・感動しました。
ひろひこさん、ありがとうございます!
2020/04/25 11:24
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ いったんココマデ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
素敵なシェアリングありがとうございます。
打鍵のたびに押し下げないための、肋骨スキップ※7の方が。「ふともも長~い」よりも先でしたね。そして、スケールで「胸横筋 外 外」「肩甲骨 外へ外へ」のローカルなディレクションを思って※8いただきながら、弾いてていただいた直後に、「太もも長~い」のワークをしましたね。
voo sound ※9は 小さいトラウマの解消には役立ちます。Jaldharaさんは病人ではなく、基本的に肉体面・精神面を含めた全体が健康な方なので、ご自分でかなり活用できると思います。
かなり打ちのめされている方の場合には、そのことについてご本人に自覚があるかどうかに関わらず、特別なトラウマ・ケアが必要になります。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
そうか、そういえばスキップした!あの時はもう無我夢中だったので順番はいまいち冷静に覚えていないなと自分でも思ってました。
トラウマ体験を扱っていたためでしょうかね、情報をいっぱい聞いてても、頭にはあんまり入ってない。感情のボディが必死で頑張ってたって感じ。あ、それと年齢も関係あるかも〜
引用者註
※1 体のいろんなところに『ふみふみ」と言いながら触れるエクササイズをしたり
「皮膚、皮膚。。。」だったのですが、通信状況が悪かったから、うまく聴こえなかったのかも。
拙著『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』(ヤマハミュージックメディア 2019年2月)の36~41ページに手順を掲載。
※2 目に光がいろんなところから入ってくるというイメージのワークとか※2
二人で行う手順は、前掲の拙著の30~33ページでご紹介しています。今回レッスンで行ったひとりで行う手順については、近々動画講座でご紹介します。
ワークの効果として次の3つがあります。
- 全身が伸びやかになり、からだのなかに”力の通り道”を開く。
- 自律神経系が、演奏に最適な状態になりやすい。
- 小脳が全身の動的バランスをうまく制御してくれるようになる。
※3 動かしにくい体の部分をハンガーでささっとふり払うとかをいうの
前掲拙著76~79、82~85、96~97、102~103、124~125、146~149、150~151、152~155ページを参照してください。
※5 太ももを撫でながら「ながい、ながい、ながい」と言ってください
アレクサンダ-テクニークの代表的なディレクションの4つめを、私なりに分かりやすく意訳した表現です。レッスンでは、もちろんすべてのディレクションを申しましたが、4つ目の意訳の仕方が特徴的だったので、記憶に強く印象付けられたのでしょう。
代表的なディレクションについては、用語集のディレクションをご参照くださいませ。
※6 背中を意識してください
実際には、「息を吐いたり、吸ったりするときの、背中側から胴体側面の動きに注意を向けましょう。視界は適度に広いままで」と申しあげました。
それによる効果は、前掲拙著42~43ページをご参照ください。
※7 肋骨スキップ
前掲拙著133~135ページを参照ください。
胴体の奥行きを思い出して、背中側が広くなって、打鍵のたびに起こりがちな”押し下げ”を防ぐ効果があります。
※8 スケールで「胸横筋 外 外」「肩甲骨 外へ外へ」のローカルなディレクションを思って
前掲拙著124~125ページをご参照ください。
※9 voo sound
人間の生理的な反応を重視した身体志向のトラウマ・セラピーのSomatic Experiencing©のワークの1つ。アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこは、Somatic Experiencing©のSETI認定プラクティショナーでもある。
もともと、先行するアレクサンダーテクニークなどのSomatic Educationの影響を受けてSomatic Experiencing©は成立しているので、両者を併用するのに相性がよい。
かわかみひろひこのコメント
やはりアレクサンダーテクニーク教師の方は、呑み込みが速いですね。
レッスンの最後に申しましたが、アレクサンダーテクニーク教師には大きく3つタイプがいて、
- ほぼ黙ってレッスンするタイプ
- 知的にレッスンするタイプ
- ひらめきを重視するタイプ
でも、私は、バカっぽく、遊びのようにレッスンするタイプだなと。今回それが自覚できて、よかったです。
コメントを残す