アレクサンダーテクニークのベテラン教師のウィリアム・コナブル博士とかわかみひろひことの関わり
もう20年以上、片桐ユズルさんが、アレクサンダーテクニークのベテランの教師のウィリアム・コナブル博士を日本に招聘くださっています。たいへんありがたいことです。
ビルさんは不思議な人で、私がアレクサンダーテクニークの教師トレーニング中(1999年4月から2003年12月)に私が困ると、日本にやってこられました。
アレクサンダーテクニーク教師訓練中に突然腰痛になった
アレクサンダーテクニークの教師トレーニング中に腰痛が現れたことがありました。私はトレーニングのメインの先生にお伝えしようと思いましたが、言おうとするといつも話をはぐらかされ、ほぼ毎週4日以上会っていたのに、そのことを伝えることができたのは半年以上経ってからです。
ディレクター氏「どうしてもっと早く言わなかったんだ?」
わたし「いつも手を挙げて、何か言おうとするたびに、あなたは遮って、15分以上しょうもない話をしていたじゃない。そんなことされたら、話せないよね」
彼からいただけたアドヴァイスは「医者に行け」でした。
私たちアレクサンダー教師は医師ではありません。腰痛には胃がんなどの深刻な内科的な病気が隠れていることがあります。だから、生徒さんに痛みがあれば、病院に行くことをお勧めする職業倫理的な義務があります。私が認定をいただいたATI 、The Alexander Technique Internationalの倫理規定にもそのように書いてあります。
そういう意味で彼のアドヴァイスは適切でした。しかし、半年前に話を聞いてそのように言うべきでした。
ちなみにお医者様の診断は、腰椎分離症がある。生まれつきか、しばらく前の怪我が原因の。
そして、その腰痛は一生治らない。
お医者様のお話は私にとっては、まるで納得できる内容ではありませんでした。なぜかと言うと、腰が痛くなるまでは、数10年腰が痛いことがなかったからです。
それからしばらくしてビルさんのアレクサンダーテクニークのグループレッスンを受けて、ビルさんに腰痛の話をしました。
「腰が痛くて大変だね」
特にそのアレクサンダーテクニークのワークショップやレッスンで、なにか股関節とか骨盤に関する指導があったわけではありませんでした。
しかし、ビルさんが日本を去って、少ししてから、腰痛がすっかりなくなっていることに気づきました。
そのときは、7層のボディマッピングという主に太ももに働きかけるワークも実習しましたが(本当は全身なんだけど、当時は理解できませんでした)、どうやら股関節周辺の筋肉を固めていると、別の言い方をすると互いに拮抗するお腹から脚に向かう大腰筋と背中側から脚に向かう大臀筋を同時に収縮すると(共収縮)、脚を動かすときに骨盤を大きく持ち上げる結果、腰に負担が来るらしい。
言葉でそのようにご指導を受けたわけではなかったのですが、その後日々アレクサンダーテクニークを実践する中でそのことが分かりました。
誤解して欲しくないのですが、脚を動かすときに仙腸関節から脚が動くことが全くないと言っているわけではないということです。そのような動きも起こらなければ動きの自由は失われます。
けれど必要以上に動く状態というのは、股関節周辺で共収縮が起きている証左であるし、そのような動きは腰部や脚への負担をかけるのです。
こういうことに自分で気づいていくプロセスは、もちろんビルさんにそのように導いていただいたのですが、自分自身で発見していく訓練になりましたし、人に教えるようになってからたいへん役に立っています。
アレクサンダーテクニークの定義は様々にできますが、筋肉の働きの側面から見ると、なにか活動のある時点の動きについての拮抗筋を緊張させるのを防ぐ、瞬間ごとに反対のお仕事をする筋肉同士の共収縮(F.M.アレクサンダーは押し下げpulling downと呼びました)を防ぐワークということもできます。ものすごく部分的な定義ですが。
しかし、具体的なワークのためのひとつの目安になります。
このような習わなかったことを獲得する、発見するプロセスはビルさんと、もうひとりの先生から学びました。
アレクサンダーテクニーク教師訓練中に席が数ヵ月も止まらない
咳が何ヶ月も止まらないことがありました。
ビルさんは「いやな咳だね」とおっしゃいました。特にそのことのレッスンは受けなかったのですが、彼が去った後治っているのに気づきました。
アレクサンダーテクニークの教師トレーニングを受けていたし、個人レッスンも受けまくっていたのに、消えなかった腰痛も咳も、彼とワークしたらいつのまにかなくなっている。
因果関係ははっきりしませんでしたが、どういうワークをビルさんとしたかは分かるので、自分でワークを続けて、どういう因果があるのか考えました。
ここで分かるというのは、その時点で分かる範囲では分かるという意味です。分からないところからはひとりでは始められないし、ビルさんは必ずしもひとりでできることを必ず毎回残してくれました。
どうして改善したのか分からないこともありましたが、お会いするたびに新しい気づきをいただき、次にお会いするまでの課題をいただきました(これをやりなさいと言われたわけではありません)。
アレクサンダーテクニークの盟友藍川菜緒さんと仲よくなれたのも、コナブル博士のお陰
私がもっとも敬愛するアレクサンダー教師仲間は、藍川菜緒さんですが、彼女と信頼関係を築けたのも、ビルさんのおかげでした。それは私自身のアレクサンダーのワークをとても豊かにしてくれます。
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