アレクサンダーテクニークは、フォーカル・ジストニア(職業性ジストニア・局所性ジストニア・局在性筋失調症)の方にもお薦めします。
フォーカルジストニアは、もともと大航海時代以降、植民地の書記官に多く見られる書痙(しょけい)で知られていました。植民地の書記は大量の文書を手書きで書写する仕事をしていました。
そのような書記の中に、突然字がきれいに書けなくなる人が現れ始めした。本人の意図に反して、書いているときに指を巻き込んだり、突っ張ったりするのです。
その後、タイプライターが発明されてからは、会社中の文書をタイプするタイピストの職業病として注目されました。
さらにその後のテクノロジーの発達で、過酷の同じ動作を反復継続する方たちは減り、同じ動きを反復継続する演奏家の方たちに残りました(だからといって、すべての演奏家が成るわけではありません)。
原因については諸説ありますが(代表的な学説は、脳の運動野の地図が現実の構造と乖離したという説、ほかにも前頭葉が過剰に働いているという説がありますが、まだはっきりしたことは分かりません。治療法も確立していません。
繰り返しますが、けっしてすべての演奏される方がなるわけではありません。
日本における特徴は、プロの演奏家だけではなく、アマチュアの方たちにもなる方が多いことです。
私も多くの演奏家の方たちとレッスンをするようになり、フォーカルジストニアの方たちともレッスンをすることが多くなりました。
これまでレッスンしてきた生徒さんで、私の紹介でお医者様(東京女子医大附属病院の客員教授の酒井直隆先生)からフォーカル・ジストニアの診断を受け、私と数回レッスンした後で。ご本人としては完治したというオーボエ奏者の方もいます。
このような文章を読みといささか頼りなく思われることでしょう。
しかし、誇張や煽りをするわけにはまいりません。
フォーカルジストニアになった方たちは、演奏中に痛みを伴うことが多くあります。その痛みは、「からだ」の使い方を変えていくと、私がレッスンしてきた経験では、劇的に軽減します。
なかなかフォーカルジストニアが完治しないことはとても悔しいのですが。技術的に正しさを求めることや特定の感覚を求めることを手放すことが、症状の軽減に効果がありそうだということは、最近確信し始めたところです。
誠心誠意お手伝いいたします。
参考として、「どうして弾けなくなるの?: <音楽家のジストニア>の正しい知識のために」(音楽之友社)153㌻に掲載されたワークにより改善・悪化を感じた割合を転載させていただきます。
分母は86名。Rosset-Llobet 2005からの引用です。
講師かわかみとのレッスンでは、通常のアレクサンダーテクニークのレッスンの他に、演奏技術の再教育も行います。
ワーク名 | 人数 | 改善率 | 悪化率 |
---|---|---|---|
鍼治療 | 31名 | 9.1% | 3.2% |
理学療法 | 24名 | 8.3% | 0% |
ストレッチ | 21名 | 42.9% | 4.8% |
ホメオパシー | 18名 | 0% | 0% |
非ステロイド系抗炎症薬 | 17名 | 0% | 0% |
ヨガ | 15名 | 6.7% | 6.1% |
ビタミンD | 14名 | 7.1% | 0% |
用手療法 | 14名 | 7.1% | 7.1% |
筋弛緩薬 | 13名 | 30.8% | 0% |
アレクサンダーテクニーク | 12名 | 25% | 0% |
オステオパシー | 10名 | 0% | 0% |
トリヘキンフェニジル | 10名 | 50% | 20% |
催眠治療 | 9名 | 33.3% | 0% |
外科手術 | 8名 | 0% | 0% |
ボツリヌス毒素 | 8名 | 12.5% | 25% |
心理療法 | 7名 | 14.3% | 0% |
プロプラノール | 6名 | 16.7% | 0% |
足裏リフレクソロジー | 6名 | 0% | 0% |
演奏技術の再教育 | 4名 | 50% | 0% |
ホームページ内参照記事
フォーカルジストニアの症状のあるピアニスト&ピアノ教師MTさんのレッスンのご感想とその後
マティアス・アードリックさんから教えていただいたフォーカルジストニアの方たちへのレッスンのコツ
自力でフォーカル・ジストニアから回復されたトルーシュ亜紀子さんの体験談
講師プロフィール
アレクサンダーテクニークを教え始めて、10年の実績があります。
プロヤアマチュアの鍵盤楽器奏者・弦楽器奏者・管楽器奏者・打楽器奏者・声楽家にアレクサンダーテクニークを指導し、多くの方たちの「からだ」の違和感や痛みの解消や、表現力の向上をサポートして参りました。
ベテランのアレクサンダー教師でボディ・マッピングの創始者ウィリアム・コナブル博士の薫陶の元、かわかみが開発した内臓のボディマッピングは、長年本番での過度な緊張やあがり症に苦しんできた方がこの課題を解決するのにとても役立ちます。
2007年から2008年にかけて、日本のミルトン・エリクソンと異名をとった催眠療法の権威 吉本武史先生(臨床心理士)から、催眠療法を学びました。お世辞かも知れませんが、「かわかみさんのワークにはとても中立的で、好ましい」とお褒めいただきました。先生は2011年3月11日の震災前に亡くなられ、先生からもう新たに学ぶことができないのがとても残念です。
2012年から、トラウマの解消に画期的な効果がある心理療法として知られる、SE ソマティック・エクスペリエンス(Somatic Experiencing)のプラクティショナー・トレーニングを受け始め、2015年3月にトレーニングを修了し、同年プラクティショナーに認定される。。
活動実績
ヤマハミュージック東京 銀座店にてウィリアム・コナブル博士の講座(2005/7/21)
オーガナイズ。アシスタントとしても教える
公開講座「アレクサンダー・テクニークで音を変える」
ヤマハミュージック横浜(2007年1月20日)
ヤマハ新潟店(2007年5月25日)
スガナミ楽器町田店(2007年6月9日)
スター楽器池上店(2007年6月28日)
日本音楽家ユニオン東北地方本部主催仙台WS(2010年3月3日)
国立音楽大学3年生・4年生のピアノ専攻の30名の生徒さん向け講座(2010年6月5日, 6月19日)
アシスタント:辰巳京子氏、斎藤真理香氏(ともにピアニスト)
全員に手を使って指導。
演奏のアクティビティー・レッスンは8名程度
全日本ピアノ指導者協会柳川支部にて講座とグループレッスン(2012年1月30日)
国立大学法人 東京学芸大学教育学部音楽学科(2012年8月2日)
学部生およそ100名の方たちに90分のお講座を致しました。
講座を実現してくださいました、東京学芸大学准教授 清水和高先生に感謝いたします。
自衛隊の音楽隊
自衛隊の音楽隊は、30歳半ばより若い方たちは、音大出身の方たちや、吹奏楽が盛んな高校出身の方たちで音大出身の方たちをオーディションで破って入った方たちです。
災害が起こると救援活動に当たる他、被災地の広範囲にわたって慰問演奏でご活躍されます。
北海道札幌市の陸上自衛隊北部方面音楽隊(2013年3月)
青森県三沢市の航空自衛隊北部航空音楽隊(2012年12月10-11日)
広島県呉市の海上自衛隊呉音楽隊(2012年3月27-29日)
北海道札幌市の陸上自衛隊第11音楽隊(2012年3月8日)
静岡県浜松市の航空自衛隊中部航空音楽隊(2011年2月, 3月,2012年3月)
北海道旭川市の陸上自衛隊第2音楽隊(2012年3月13日)
音楽関係メディア掲載歴
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