更新の上再掲載 2013年12月25日
初出 mixi 2012年08月22日 21:03
アレクサンダーテクニークのベテラン教師ヴィヴィアン・マッキーさんからお話を聴きたいと思った理由
今から8年以上前でしたが、ベテランのアレクサンダーテクニークの教師で、チェロ奏者としてカザルスの弟子でもある、ヴィヴィアン・マッキーさんに、どうやって音楽関係の方たちにアレクサンダー・テクニークを広げていったのか聞いたことがありました。
今でこそ、英国王立音楽院やその他のイギリスの音大で、アレクサンダーテクニークはカリキュラムとして取り入れられていますが、けっしてずっと以前からそうだった訳ではありません。
私が日本で2003年に教え始めようと思ったときに、イギリスで音大で初めてアレクサンダーテクニークを教えた人に聞くのがいちばんだと思いましたので、ヴィヴィアンさんに問うたのです。
ヴィヴィアンさんは答えました。
「そうねえ。いまから考えるとベストな方法ではなかったのかもしれないけれど、だれもアレクサンダーテクニークのことを知らなくて。
私は多くの人に知ってもらいたかったし、アレクサンダーテクニークが多くの音楽家たちに役立つことを知っていたから、ただでよいから、教えさせて、とお願いした。
私の後に入った人は、きちんとお金を貰ったかもしれないけれど、私は貰わなかった」
先輩アレクサンダーテクニーク教師ヴィヴィアン・マッキーさんのお話を聞いて思ったこと
その話を聞いたときに、物事には”始まり”というものがあるのだと思いました。
そして、私は恵まれていると感じました。
2012年8月2日に東京学芸大学教育学部音楽学科にて、学部生100英の方たちにアレクサンダーテクニークのお講座をする機会をいただきましたが、先方からオファーをいただいたし、きちんと講師料もいただくことになっています。
私は恵まれているな、と本当に思います。
アレクサンダーテクニーク教師ヴィヴィアン・マッキーさんのイギリスでの評価
ヴィヴィアン・マッキーさんは、ある人たちによれば、アン・バティさんと並んで、イギリスでは第2世代を代表するアレクサンダーテクニーク教師だと言われているそうです(もちろん他にも、素晴らしい教師はたくさんいるでしょう)。
そのヴィヴィアンが、無料で何年も教えていたのかと思うとなんか切ないです。
著書『自然に演奏してください』にも、今までカザルスの奏法について、だれからも聞かれたことがなかったという発言が書いてありました。
彼女は、もっと評価されてしかるべきなのに、そうではない不遇の時代が長かったのです。
けれど、たゆまずに前進を続け、いつも笑顔を絶やさず、豪放磊落で、肝っ玉母さんっぷりを発揮される素敵なヴィヴィアン。
今日の英国でのアレクサンダーテクニークの隆盛の歴史を作り上げた主要な登場人物のひとりとなりました。
私たちは、ともすれば自らが世間に認められず、怨むこともあります。しかし、そんなときこそ、少し待って、世の中と自分自身の全体を思い出す必要があるのです。
コラムの目次はこちらに。
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