公開日:2015年5月17日
大事な場面でのあがり症や緊張と皮膚の意外な関係-アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこの教えてきた経験から
意外な話かもしれませんが、舞台の本番で、過剰に緊張することの多い方や、あがりやすい方たち(いわゆるあがり症の方たち)、いわゆるステージ・フライトになりやすい方は、外界と私たちとの境界である皮膚への認識があいまいなことが多いのです。
音楽心理学では、舞台の本番であがったり緊張したりして実力が発揮できない状態を音楽演奏不安と呼びます(演奏家における緊張・あがりの実態)。
舞台で演奏や演劇や踊り(ダンス・舞踊・舞踏)などの表現活動をするとき、あるいは職場でプレゼンテーションをするときもそうですが、外界との境界である皮膚を超えて、外側に働きかけます。そして、聴衆や鑑賞者からやってくる反応を外界との境界である皮膚の内側に受け取ります。
必ず皮膚を超えて外へ、そして皮膚の内側にという双方向のやりとりを伴うアクティビティとなります。
ところが、境界である皮膚への注意が曖昧であると、そのようなアクティビティを行おうとした途端に、私たちのシステムに大きな負荷がかかり、凍りつきが起こりやすくなります。
大事な場面での緊張やあがり症と自律神経に関するポリヴェーガル理論との関係-アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこの私見
自律神経に関するポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)に当てはめて説明すると、
社会性を司る腹側迷走神経複合体が優位に働かなくなり、
逃げるか戦うかを担当する交感神経が優位になるか(この場合は過剰に緊張します)、
背側迷走神経複合体が優位になります(この場合は凍りつきます)。
凍りつきについては、こちらもご参照ください。
その凍りつきを避けるための次善の策として、境界をはっきりさせるために、口の中の粘膜を噛んだり、歯を食いしばる人もします。
次善の策がないか、行っても効果がないと凍りつきます。
- 地に足がついていない感じ。
- 頭が真っ白になる感じ。
- 頭は冷静で、からだが思うように働かないことを冷静に観察している場合
- エネルギーが上がりっぱなしの状態。
いわゆる、大事な場面での緊張やあがり症の状態です。
ですから、ステージ・フライトを避けるためには、境界としての皮膚を注意を向ける必要があります。
私かわかみは、以前からウィリアム・コナブル博士直伝の7層のボディマッピングを生徒さん達にお伝えしており、皮膚のボディマッピングもしていました。しかし、従前は皮膚への注意力の重要性をきちんと認識しておりませんでした。
今年に入ってから、頻繁にレッスンをご受講される方たちと検証を重ねておりましたが、有効性が確認できましたので、2015年5月から、本番力を高めるために、皮膚のボディっマッピングを私のアレクサンダー・テクニークのレッスンのカリキュラムに加え、すべての生徒さん向けに教え始めました。ご興味がございましたら、ぜひレッスンを受講くださいませ。
2015年5月19日追記
実際に皮膚のボディマッピング実践していただくと、わずかな時間で
「からだ」が暖かくなり(くるまれているような、心地よい感じとおっしゃる方もいます)、
全身が伸びやかになり、
地面に足が着地します。
また、このワークを学ばれた演奏の先生が、生徒さんにやらせてみたところ、いつも発表会で感覚的に脚がなくなるのに、脚があるまま演奏できたという方がいらしたというフィードバックもいただいております。
この皮膚のボディマッピングの実践を前提に、
指の独立や
特に手が小さい方がオクターブを自由に弾けるようにするための
方法も発見しました。ピアノ奏者の方たちだけではなく、管楽器奏者の方、手仕事をされる方たちに役立ちます。
アレクサンダーテクニークかわかみひろひこの陰の手(マイナスの手)の効果と発見の経緯をご参照ください。
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