スポーツ・コンディショナーの生徒さんとの会話

運動指導をする方が、最近熱心にアレクサンダーテクニークのレッスンを受けてくださっています。

 

最初のグループレッスンで,”耳慣れないミョウテケレンな指示”とほとんど触れるか触れないか分からないくらいに手を置かれただけで、とても”からだ”が軽く動いたので、大きな衝撃を受けたそうです。

 

その方は、他に学んでみようかなと思っていらしたワークがあったそうですが、そちらも受けられてから、そちらはやめにされたそうで、お忙しいなか個人レッスンを受けてくださっています(アロマセッションと運動指導で、売れっ子さんなのです)。

 

やりたいことと質問が沢山ある方で、ここ3ヶ月のあいだ、月に2回、1度に2レッスンまとめてご受講されてます。

 

その方が次のような最初の個人レッスンで質問をされました。

 

「”デリケートに頭部を解放して、背中が広く、太ももがながーいながーい”という指示をされますね。”広くなるのを許してあげて”とおっしゃることもある。
運動指導だったら、”頭を上に突きあげて、背中を広げて”と言います。

どうして、かわかみさんのレッスンではそういう”ゆるい””まどろっこしい”指示をされるんですか?」

 

私は次のように答えました。
「右手を高く持ち上げてみてください。そして下ろします。どうですか?」

 

彼女は答えました。
「腕を持ち上げる時には、二の腕の裏から背中辺りが緊張して、下ろす時には肩に来ます。」

 

私「そうでうですね。では次にもう1度持ち上げていただきます。ですが、その前に少しだけご自分に時間を差し上げて、”デリケートに頭を解放して、胴体の沖雪、背中がひろーい、ひろーい、太ももがながーいながーい”、そして小指がリードして、持ち上げます」

 

彼女「ああ、持ち上げるのが楽。」

 

私「では次に腕をおろします。けれど、少しご自分に時間をさし上げて、そしてデリケートに頭を解放して、少なくとも脇の下まで続く背中がひろーいひろーい、そして肘を曲げ腕を下ろします」

 

彼女「ものすごく楽。あれっ! さっきまでどうやっていたんだろう?」

 

私「さっきまでは、もういいから、何かをしようとする時にいつでも、私たちはこれから行う活動に突進して行き勝ちです。それで、ハッピーだったらよいのだけれど、けっこうそうでもなくて。
ではどうすればよいのかというと、何かをするときに、少し時間を挙げて、自分自身の”からだ”を感じ取る※2ために、方向を与えて米3、そして動くと楽になるんです。

では、次に先ほどの一般の運動指導で用いる言葉を使ってみましょうか。

はい! では頭を上に突き上げて、背中を広く貼りだして、腕を持ち上げましょう!!!

どうでしたか?」

 

彼女「とても重いです」

 

私「そういうことです。似たようなことなんだけど、”自分自身”に”許可を与える”のと”押し付ける”のでは、効果が全然異なります。

 

最近スタビリティ・トレーニングというのが流行っていますが、あれだって言葉の指示を変えると、ずいぶん効果が著しく高くなるように思いますね。

 

あっ、ちなみに”自分自身に時間を上げる”なんて、やっていたら、”間に合わない”とお思いになるかもしれません。

 

でも違うんです。

 

以前ドイツのサッカーのナショナルチームに代表選手としてメンバーになっていたアーロンハントさんという方が、スポーツ誌のインタビューで、次のように答えています( 写真スポーツ誌 Number 2006年2月 (643号))。

 

”アレクサンダーテクニークのレッスンを受け始めてから、決めなければならないゴールの瞬間に、確実に決められるようになった”

 

私の言うことは信用できなくてもよいのですが、ハントさんの言うことは否定出来ないと思うんですよ」

 

初出 facebook 2013年5月8日

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ABOUT US
かわかみ ひろひこアレクサンダーテクニークの学校 代表
第3世代のアレクサンダーテクニーク教師。2003年より教えている。 依頼人である生徒さんへの共感力、課題改善のための活動の動きや言葉に対する観察力と分析力、適確な指示、丁寧なレッスンで定評がある。
『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』、『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』(ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)の著者。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのプロフィールの詳細