アレクサンダー・テクニークは、アスリート、つまりプロ・アマチュアを問わず、スポーツをする方たちにも役立ちます。
例えば、ドイツやスペインの乗馬(馬場馬術)のナショナル・チーム、つまりオリンピックに出る国の代表選手たちは、アレクサンダーテクニークのカリキュラムとして導入しています。
また、ドイツのサッカーの代表チームに選手として選ばれる、アーロン・ハント(Aaron Hunt、1986年 – )は、アレクサンダーテクニークのレッスンを受講していることでも有名です。彼はスポーツ誌のインタビューにこのように答えています。
アレクサンダーテクニークのレッスンを受講するようになって、「ゴール前での緊張がなくなり、効果的に動けるようになった」と。
写真スポーツ誌 Number 2006年2月 (643号) [文藝春秋社]より引用。
なお、記事の中では「FWフント」とありますが、FWとは、フォワードのこと。名前ではなくて、サッカーのポジション名です。
また、日本では「フント」と表記されることもありますが、実際にはハントと発音します。
また変わった所では、アレクサンダーテクニークは、イスラエル空軍のパイロットの養成にも採用されています。なんでも航空機の運用能力が高まるそうです。おそらく、空中での自分の位置を正確に把握する能力=空中感覚が効果的にトレーニングされるからでしょう。
日本人の体育学者の皆様、あるいは航空自衛隊の研究所の研究員のみなさま、いつでも研究にご協力いたしますので、お気軽にお声がけくださいませ。
なぜサッカードイツ代表選手のハントさんは「ゴール前での緊張がなくなり、効果的に動けるようになった」のでしょうか?
アレクサンダー・テクニークのレッスンで学ぶ重要な基本の1つは、インヒビション=抑制です。これは「我慢すること」ではありません。自分を押さえつけることでもありません。そうではなくて、脳神経科学でいうところの抑制=興奮をやめる(緊張をやめる)という意味です。
運動には緊張が必要です。筋肉の緊張することで「からだ」は動きます。しかし、すべての筋肉が同時に緊張したら、例えば走るときに足を振り上げるときに、足で後ろに蹴るときに働く(緊張する)大殿筋が緊張したら、脚はすばやく高く上げることはできなくなります。そうです。すべての筋肉が同時に緊張したら、「からだ」全体は固まって、動けなくなります。
効果的に動くためには、瞬時にある筋肉たちを緊張させたら、次の瞬間には緊張をやめて(つまり抑制して)、また次の瞬間にはそれらの筋肉たちを再び緊張させて、そして次の瞬間には。。。と切り替えていく必要があります。
そのような効果的に動くために、効率よく筋肉たちを働かすことをアレクサンダーテクニークのレッスンでは学ぶことができます。
けっして、我慢することによってではなくて、私たち自身に時間的・空間的な余裕を与えることによって。
講師かわかみ ひろひこ プロフィール
アレクサンダーテクニークを教え始めて、16年の実績があります。
あまり大人数ではありませんが、アマチュアのスポーツ選手たちにレッスンしています。
またプロやオリンピックの選手たちに指導しているトレーナーやコンディショナーたちにも指導しています(プライバシーの問題があるので、お名前は明らかにできないのが残念です)。
雑誌掲載歴
月刊『ゴルフダイジェスト』2012年9月号「わかったぞ! りきみ発生のメカニズム」に掲載。掲載ページ数2ページ。イラストあり。 |
コメントを残す