2019年8月21日のアレクサンダーテクニークのレッスン日記より抜粋。
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今日の午後に海外在住のヴァイオリン奏者の方が、初回のアレクサンダーテクニーク&ボディマッピングの個人レッスンを受けにいらっしゃいました。
基本的な動きにアレクサンダーテクニークを使う
はじめに右を向く、左を向く、上を向く、下を向く、腕を持ち上げる、降ろす、立つ、座るなどの私が選んだ基本的な動きを、アレクサンダーテクニークを使って、経験いただきました。
全身が有機的につながって動く=全身の動きのコーディネーション(組み合わせ)が整うことをご経験いただき、ゆくゆくはひとりでできるようになっていただくことが、アレクサンダーテクニークのレッスンの趣旨です。
個人的には最初から演奏にアレクサンダーテクニークを応用するのは、動きが複雑すぎて、多くの方には困難です。物事の進め方として、易しいところから難しいところに進んでいくやり方が多くの方に適しているからです。
もっとも、生徒さんがそういう基本的な動きにリアリティをまったくお感じにならない場合には、演奏のアクティビティから進むこともありますが、私のアレクサンダーテクニークのレッスンでは稀です。
簡単な動きにアレクサンダーテクニークを使って効果がはっきりした後で、演奏にアレクサンダーテクニークを使います。
今回は、アレクサンダーテクニークの初回の個人レッスンのお申し込みの際に事前に演奏中の姿勢が安定しないという課題を伺っていました。
楽器を構える
楽器を構えるときに、前項の「基本的な動きでアレクサンダーテクニークを使う」で行なった手順を使います。
楽器を構えるという動き
すなわち、
伸びやかに立っている(挫創の場合には座っている)
立ってる場合には、左足を出す。
楽器を肩に乗せる。
左を向く
頭を傾ける
このすべてのプロセスで、少し待つ(インヒビション)と全身を伸びやかにする方向(ディレクション)を思います。
アレクサンダーテクニークのを発見したF.M.アレクサンダー(1869-1955)が主著の1つ”Use of the self”の第1章で、発声に彼の発見を応用したように、発声そのものの概念を変えてゆくプロセスです。
アレクサンダーテクニークを使って、弓を長く使う、弓の重さを乗せる、上げ弓と下げ弓の切り替えをスムーズに
小柄な方でしたが、自力で10年アレクサンダーテクニークとボディマッピングの本を読んで工夫してこられただけあって、演奏もすてきでしたし、腕を長く使うための工夫をしてこられたのが、よく分かりました。
演奏していただいた後で、私の工夫—半身のディレクション—をお伝えしました。この工夫を使うと、次の4つの効果があります。
- 弓が長く使えるようになる
- 弓を重く使えるようになる(例えば、G線を弓の先で弾くとき)。
- 下げ弓(ダウン・ボウ)から上げ弓(アップ・ボウ)の切り替えがスムースになる
- 上げ弓(アップ・ボウ)から下げ弓(ダウン・ボウ)の切り替えがスムースになる
「慣れるまで、時間が掛かりそうです」とおっしゃっていましたが、よく使いこなしていらっしゃいましたし、「からだが急に大きくなった」と、おっしゃっていました。
アレクサンダーテクニークを使って、左手の動きを改善する
「動画で確認したら、左手の指が指だけの動きになっている」とおっしゃったので、構えるところから、左の脇の下や肩甲骨を押し下げないように、手と言葉を使って指示しました。特に、ハイボジションのときに。
すると「信じられないほど指が軽い」と。おっしゃいました。
実はヴァイオリン奏者やヴィオラ奏者は、自分自身に合気道の四方投げという技を掛けてしまうことがしばしばあります。
ギター奏者の場合は左手に小手返しを掛けやすいです。
腕の高さが変わるだけで、技の名称が変わる合気道って不思議ですが、いずれの技も、手首を返しつつ、肩甲骨に関節技を掛け(肩甲骨を押し下げ)、かつ股関節にも働きかけて、腰を崩します。
楽器を構えるとき、ハイポジションになるとき、肩甲骨を押し下げないように、アレクサンダーテクニークのディレクジョンを送ると、肩甲骨や腰が押し下げられないので、首も胴体も楽になりますし、左の腕も、指も自由に動けるようになります。
アレクサンダーテクニークを使って、弓を持つときの注意事項
年に1回くらい、右手親指の付け根がピキピキなるとのことでした。
親指の3つの伸筋(長拇指伸筋、短拇指伸筋、長拇指外転筋)の過剰な緊張が原因と考え、これらの緊張を解放するディレクションの実習を行いました。
「気がつきませんでしたが、少し引き込んでいました。」とおっしゃいました。
具体的な方法については、アレクサンダーテクニークの原理に基づいて書いた拙著『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』2019年刊行『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』2022年刊行 ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス をご参照ください。
その他
他にも視界の広さとグラウンディングのワーク(この方は視界が広すぎて、ふわふわするタイプの方でした)、6歩歩くだけで、地面にしっかり足が着地するようになるワーク、呼吸が深くなるゲーム、皮膚のボディマッピング「皮膚、皮膚。。。」を行いました。
具体的な方法については、アレクサンダーテクニークの原理に基づいて書いた拙著『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』2019年刊行『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』2022年刊行 ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス をご参照ください。
あっという間の90分でした。
弦楽器奏者のアレクサンダーテクニークのレッスンのご案内はこちらに。
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