バーバーラ・コナブルさんの「音楽家ならだれでも知っておきたいからだのこと」やその周辺のシリーズが続々と出版されて思うのは、果たしてあの本たちが世に出てよかったのかなということです。
必ずしも適切な情報が掲載されているわけではないし、なかには誤った情報もあります。

 

薬にも毒にもなる内容が含まれています。

 

しかも、この本が出てから、この本を鵜呑みにして、「腕は鎖骨とからですよ」と教えるアレクサンダー・テクニークの教師も増えたようです。
またブログにそういうことを書かれる方もいます。

 

それで、問題が解決する人もいらっしゃるでしょうし、問題は解決しなくても問題が解決したと思い込んでしまう可愛そうな方もいらっしゃるでしょう。
いずれにしても、教えている人やその方たちから学んでいる方たちがご満足されていれば、それはそれでよいのかもしれません(その生徒さんたちはお気の毒ですが、そういうアレクサンダー教師を選んだ責任はありますので)。

 

しかし、それでは絶対に解決しない、腕を動かすときの癖があります。
なぜなら人間には、骨格だけではなくて、筋肉があるからです。

 

弦楽器奏者、ヴァイオリン奏者や、小柄なチェロ奏者に典型的に起こりがちな癖(くせ)ですが、ピアニストにも起りますし、そうでない方たちにも起こります。

 

腕を動かすときに、胴体の両側側面を内側に引き寄せる癖です。とても観察しにくい、巧妙に行われる癖です。ある程度熟練したアレクサンダー教師以外の方には、まず観察するのは難しいでしょう。

 

癖(くせ)一覧
例えば、弦楽器で下げ弓(ダウン)のとき、右手に弓を持っていますが、右肘が伸びて行き、弓は右の方向に動きます。

このときに現れる典型的な癖は、

 

<1>胴体の右側側面を身体の中心に向かって、縮めてゆく癖。
プレイヤーは弓が重くなり、音から重厚感が消えます。

見た目には、身体の中心に頼りない軸が立っているような印象を与えます。
このとき、「腕は鎖骨から」とか、「弓の根元がリードして」という、”バカの1つ覚え”のような指示では解決に結びつく方は稀です。

まず無理だと思ったほうがよいでしょう。

 

 

<2>胴体の左側側面を身体の中心に向かって、縮めてゆく癖。
弓は重くなり、左腕にも違和感や痛みが増し、左手の指の動きの自由が失われます。
下げ弓(ダウン)から上げ弓(アップ)への切り替えから、スムースさがなくなります。

 

<3> <1>と<2>を同時に行う癖。

 

※ もちろん頭を押し下げる癖、両脇を押し下げる癖等々も起きますが、ここでは敢えて割愛します。

 

※ 文書を複雑にしないために、上げ弓(アップ)のときに現れる癖は割愛します。

 

解決のために
では、解決のためにはどうするのでしょうか。

 

解決のためには、アレクサンダー・テクニークの基本的な方向を使って、胴体の身幅を思い出すのです。

 

作用・反作用という物理法則をご存知ですね? 中学校や高等学校の物理の時間に学ぶあれです。

 

演奏するときに、その作用・反作用の”力の通り道”を塞いで、結果的に「からだ」にきつい負担を強いるのが、上記に述べた<1>から<3>の癖です。

 

例えば、右に弓が動いていくときには(下げ弓=ダウンのときには)、少なくても左半身側は、右に引っ張れず、どっしりと構えている必要があります。

 

身幅を思い出すことができれば、”力の通り道”を回復することができ、
音に重厚感が戻ってきて、
右腕も、左腕も自由に動くようになり、
手の動きも自由になるのです。

 

その方が行っている癖によって、対処は異なりますが、いずれにしても狭くしている身幅を広くすると思うことで解決に向かってゆきます。

 

弦楽器奏者の方やその他の方で、どうにも活動中に腕に違和感や痛みやひどい疲れをお感じの方、肩こり・首こりの強い方たちはどうぞ参考になさってくださいませ。

もしもっと詳細をお知りになりたいから、確実に経験されたい方は、こちらのレッスンのご案内をご覧くださいませ。