
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのご挨拶
アレクサンダーテクニーク教師のかわかみひろひこです。
2003年から教え始め、ヤマハさんから2冊を本を出しています。
- 『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』
- 『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』
最近は音楽家の方たちが生徒さんに、カラダの使い方をご指導できるようになれるコース、響く音メソッド®講師養成コースをしています。
アレクサンダーテクニークから生まれた響く音メソッド®の講師トレーニングの報告
声楽家のYさん、ピアノ奏者YさんとTさんの3人が参加なさいました。
最近レッスンでムーブメントを取り入れている理由
最近の私のレッスンでラジオ体操やなぎなたの動きのようなワークを取り入れている意図を説明しました。
アレクサンダーテクニークの「不要な癖をやめる」というアプローチは、教師側も生徒側も誤解することがあり、時に表現者の魅力を損なうことがあります。
そうなるとドツボにはまり、なかなか抜け出せなくなります。
そこで、あえてあまりやらない動きや、なじみのない苦手な動きを体験することで、身体が「自分自身を再発見」し、表現の新たな可能性を開くことができることと申し上げました。
声楽家のYさんとのアレクサンダーテクニークの原理に基づいたレッスン
ドニゼッティのアリアの「出だしの音程」や「音楽の運び」に課題
声楽家のYさんは、レパートリーであるドニゼッティのアリアを歌い、「出だしの音程」や「音楽の運び」に課題を感じていらっしゃいました。
「閉じる動き(バレエの5番の立ち方、天神真楊流れの鬼拳を元にした腕を滑らす動き)」と「開く動き(調息法)」をご指導しました。その後、再び歌っていただきました。
ワーク後、Yさんは
- 体が安定し、構えずに声が出た
- ブレスが楽になり、めっちゃ余裕で歌えた
と、わずかな身体操作による劇的な変化に驚嘆されました。
「たったこれだけのことなのに、なぜこんなに効果があるのですか?」とご質問されたので、「元々、うまくいっているときと、うまくいっていないときとのあいだにあまり違いはなくて、わずかな違いしかないこと」をお話しし、だからわずかなきっかけでパフォーマンスは変わり得ることをお話ししました。
リアルタイムでは申し上げなかったことですが、歌を歌う方には、開くことを強く意識される方たちが多くいます。例えばカラダを開く、喉を開くなど。
しかし、そういう「開く」ことに過剰に注意が向かうと、パフォーマンスの可能性が小さくなることがあり、そこから出るために、閉じる動きを行いました。
ヘンデルのアリアで「歌い出しでもっとよいところに入れたい」という課題
Yさんは、次にヘンデルのアリアで「歌い出しでもっと良いところに入れたい」と課題を挙げられました。
そこで改めまして「閉じる動き(バレエの5番の立ち方、天神真楊流れの鬼拳を元にした腕を滑らす動き)」と「開く動き(調息法)」をご指導しました。
その後で再度歌っていただいたところ、Yさんの歌唱は大きく変化し、Yさんご本人は次のフィードバックをいただきました。
- 「考えずにパンと良いところに入る」
- 「自分の声はこれだ、という確信があった」
他の受講者の方からは、次のようなフィードバックがございました。
- 「響きが締まり、音楽が常に上がっている感覚になった」
- 「ZOOMのオンラインなのに、ホールで歌われているよう」
ピアノ奏者Tさんとのアレクサンダーテクニークの原理に基づいたレッスン
伴奏相手の拍の不安定さに動揺してしまうというお悩み
ピアニストのTさんは、伴奏相手(中学生)の拍が不安定な時に自分が動揺してしまう悩みを打ち明けられました。
これに対し、ピアニストのYさんから次のアドバイスがありました。
- パートを減らして合わせる練習を提案する
- 拍が分かる部分を強調して弾く(音楽的には本当はやりたくないけれど)
このアドバイスの後に、Tさんが再度演奏していただくと、音楽的な改善が見られました。他の受講者の方たちから、次のようなフィードバックがありました。
- ベースの動きがはっきりした
- 楽しそうに弾けている
このようにレッスンは、身体ワークと参加者間の対話が相乗効果を生む学びの場となっています。
ひょっとして私の拍感が分かりづらい!?
休み時間の後、ピアノ伴奏者のTさんは、アンサンブルにおいて「自分の拍感が分かりづらいのではないか」ということが気になりだしたとおっしゃり、「ちゃんと拍感を保っていけるようにしたい」と課題をおっしゃいました。
視覚と身体の繋がりを促すワーク(頭の後ろを叩きながら左右を見る等)に加え、他の参加者も閉じる動き・開く動きなどのワークをご指導しました。その後、再度演奏していただきました。
以前の伴奏の合わせの練習で「どぎまぎしちゃっていた」というTさんは、ワーク後に精神的な安定と技術的な自信を得たことを次のようん美フィードバックされました。
- すごい余裕が生まれてびっくりしました
- 合わせにいけそう
ワーク後の演奏に対し、矢崎さんは「作曲者がしたいことが見えてくる演奏」になったと評価。柳生さんは「今日のテーマは余裕が生まれるなのかな」とレッスン全体の共通点を指摘し、共感を示した。
ピアノ奏者Yさんとのアレクサンダーテクニークの原理に基づいたレッスン
1週間の旅行中ピアノを弾かなかったら、カラダが違う人のカラダみたいに
ピアニストのYさんは、1週間の旅行中今回はめずらしくまったくピアノに触れていなかったため、演奏後に「体が違う人の体みたい」という違和感を訴えました。曲はシューマンの「予言の鳥」。
その中間部の「畳みかけるような感じを、忙しそうじゃなく、すーっと流れの中で弾けたらいいな」という目標をおっしゃいました。
そこで「物差しを落として掴む」ワークを提案。これはカラダを適度な緊張状態(表現できる状態)に戻す効果があるワークです。
ワーク後の演奏の後、Yさんは
「余裕が出た感じがあった。自分の枠が広がって、ピアノとの距離が近くなったのかな」
と述べ、音質も「柔らかくなった」と変化を実感なさいました。
他の参加者からも、ピアノ奏者のTさんから「音が立ったように聞こえ、すごく際立った」、声楽家のYさんが「余裕が生まれて自然な流れになった」というフィードバックがありました。
今回のアレクサンダーテクニークの原理を生かした響く音メソッド® の講師トレーニングのまとめ
声楽家のYさんがおっしゃいましたが、「今日のテーマは、演奏中に余裕が生まれることかな」と。まさにおっしゃる通りで、この日のレッスンでは、参加者は共通して「余裕」が生まれる感覚を体験されました。
この緊張状態で、余裕を生むことがアレクサンダーテクニークの原理の1つインヒビションの骨子です。
具体的な身体ワークが、思考だけでは解決しにくい音楽的な課題を解消し、響きや表現の質を深める効果的な手段であることが示されました。
このグループレッスンは、受講者の方たちが抱える心身の不調や演奏上のお悩みを、具体的な身体ワークを通じて解決してゆきます。
音楽講師の方がこのようにしてお悩みや課題を乗り越えると、生徒さんのお悩みや課題に寄り添い、乗り越えるお手伝いができるようになります。
あなたも仲間に加わりませんか?
響く音メソッド®は、アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこが編纂した、音楽の先生が生徒さんにカラダの使い方を教えるようになるためのメソッドです。
現在講師トレーニング実施中です。
説明会は随時開催します。
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