演奏家の内側の音楽と表現された音楽のギャップ
今回は、音楽家・演奏者の内なる調子と演奏に現れる拍子に関する、アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこの日本の古流剣術の伝書を材料に行った考察について、書きます。
かつて剣術の新陰流では、私たちの内面のリズムを調子、太刀の動きに現れるものを拍子と言いました(『生命知としての場の論理―柳生新陰流に見る共創の理 』中公新書 1996 清水 博 著 173頁)。
そして、まずこの調子と拍子を合わせることが大事であると(前掲)。
演奏家で言えば、調子は内側の音楽のリズムや表現です。拍子は実際に演奏した音楽のリズムや表現です。
アレクサンダーテクニーク教師が考える、内面の音楽と表現された音楽との間にギャップが生まれる理輔
では、調子と拍子とのあいだのギャップ原因となるものはなんでしょうか?
アレクサンダーテクニーク教師が考える、
それは癖(くせ)です。「からだ」を押しつぶしたり、胸を張りすぎたり(背中が同時に狭くなる)、上に引っ張り上げたり(「からだ」のどこかが緊張する)する癖。
そのようなことをすると、胴体の筋肉が緊張します。胴体の筋肉は頭や腕や脚に向かいますが、それらの筋肉すべてが同時に緊張して、頭や腕や脚の動きにブレーキがかかります(例えば、胴体から頭に向かう、互いに反対のお仕事をする1対の筋肉が同時に緊張して、頭が胴体に向かって、押し下げられます)。
そして呼吸もじゃまされます。
例えば、頭部を押し下げたり、引っ張り上げすぎたり、後ろに引いたり、前に出しすぎたりしても、上記の全身の筋肉が硬直するとこと、呼吸が制限されることは起こります。
アレクサンダーテクニークのレッスンで、ギャップがなくなると実現すること
アレクサンダーテクニークを使って、そのような癖をやめていくことによって、調子と拍子が合ってきます。これは、通常の初心者向けの個人レッスンやグループレッスンで行っている内容です。
ちなみに、リズム以外の内側の音楽と実際の演奏の不一致も解消されてゆきます。その結果、内面の音楽と表現される音楽との差異が減ります。表現したいことが表現できるようになります。
例えば音の響きの豊かさです。
アレクサンダーテクニークのレッスンでギャップが解消しても、残る課題
別の課題は残ります。内面の音楽と表現された音楽が一致してくると、内面の音楽が露呈します。だからこそ、私たちの内面の音楽をいかに育てていくのかということが重要になります(それは別の機会に述べます)。
内側に湧き起こった音楽と実際の演奏の不一致をなてくしてゆくことと、内面の音楽を充実させていくことはどちらも重要です。しかし、内面と演奏との不一致の解消はなるべく早く取りかかった方がよいです。
なぜならば、ここに不一致があるときに、あなたの演奏の先生は、ご指導された音楽性をあなたがまったく理解していないと誤解されるからです。
なぜならば、少なくても、あなたが表現した音楽が、先生の要求をまったく満たしていないからです。そして、先生はあなたができない理由が、内面と演奏との不一致だとはけっして思ってくださらず、曲に対する理解が浅いのだとお思いになりのです。。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのレッスンの勧め
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのレッスンコース。
東京や横浜を中心にアレクサンダーテクニークのレッスンするほか、札幌・仙台・静岡・名古屋・福岡にも出張してレッスンします。
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