ダート・プロシージャー

医師で、解剖学者で、人類学者のレイモンド・ダート博士(1893年2月4日 – 1988年11月22日)の研究成果とアレクサンダーテクニークの理解からインスピレーションを受けた、ジョーン・マーレイとアレクサンダー・マーレイ(ともにアレクサンダ-テクニーク教師)によって編纂された一連の手順※2。ふたりは1967年にダート博士に、この手順のプレゼンテーションを行った※3

アレクサンダーテクニークのレッスンで伝統的に行われる手順と、彼らのオリジナルの手順を組み合わせて編集されている。

ダート・プロ-ジャーはカリントン系のアレクサンダーテクニークの教師のあいだで広く行われている。特にカリントン系の教師 故ドン・バートンが著名で、彼の功績は大きい。トレーニング・コースの名前はATA。ロンドン以外にシドニーその他でも教師養成コースを行った。

なおドン・バートンはシドニーの教師養成コースを乗っ取られた後、悲劇的な死を遂げている※4

日本にはカリントン系のロビン・シモンズからトレーニングを受けたアレクサンダー教師がふたり帰国して10年以上教えているので、体系的にみっちり学ばれたい方は彼らを探すとよい。

他に日本ではカリントン系のエリザベス・ウォーターハウスが2000年代の初頭に東京は目白で、ダート・プロシ-ジャーのワークショップを行ったことがある。本人によると、ドン・バートンとともに教師に教えていたことがあるそうだ※5

全体の体系

すべてアレクサンダー・テクニークの原理を使って行う。

1.つま先立ち -> おりる

2.機能的優位な姿勢(俗称:モンキー) -> ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェア

3.類人猿の機能的優位な姿勢

4.低い機能的優位な姿勢で、スツールの座面に手の甲を置く( ハンズ・オン・バック・オブ・ザ・チェアの前段階として行う)

5.よつんばい -> はいはい -> 胎児のクラウチ

6.旋回の動き

1つ1つに付随するワークがあり、それぞれの教師が独自に発展させて手順もある。例えば、下の動画の手順は私が学んだときにはあったが、ジョーン・マーレイとアレクサンダー・マーレイによって作られたオリジナルの手順にはなかった可能性がある。

参照

”SKILL AND POISE”  STAT Books

ウィキペデアのレイモンド・ダートの項。

※1 レイモンド・ダート博士自身が書いた、An Anatomist’s Tribute to F.Matthias Alexander を参照した。

※2 そのようにあるアレクサンダー教師から教えていただいたが、同様のことがこちらのページに記載してある。

※3 “The Dart Procedures” Alexander Murray

※4 複数の方たちがそのように証言しているのを聞いた。

※5 本人から私が聞いた。参考文献なし。

ABOUT US
かわかみ ひろひこアレクサンダーテクニークの学校 代表
第3世代のアレクサンダーテクニーク教師。2003年より教えている。 依頼人である生徒さんへの共感力、課題改善のための活動の動きや言葉に対する観察力と分析力、適確な指示、丁寧なレッスンで定評がある。
『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』、『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』(ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)の著者。
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのプロフィールの詳細