一昨日から昨日にかけて、日本ダンススポーツ連盟(JDSF)の夏季強化合宿に講師として参加し、アレクサンダー・テクニークの講座をしました。
ダンススポーツは現在オリンピックの種目ではありません。次の東京オリンピックでも大会種目から漏れましたが、JOC(日本オリンピック委員会)加盟団体です。そして近い将来オリンピックの種目となるように活動もしています。
私以外の講師の先生方は、みなさん他のオリンピックの競技種目の選手たちにもかかわっていらっしゃいます。
前回もそうでしたが、他の講師の先生方のお講座も見学させていただきました。
コトミックの川上琴美先生のクラス
川上先生は、山梨学院短期大学教授で、JOC強化スタッフ。
入場するときにもう競技が始まっていると思って、曲の世界観を世表現するのよっておっしゃったことには激しく同意。
笑顔が大事ともおっしゃっていました。確実に採点者たちへの印象がよくなると。川上琴美先生はおっしゃっていませんでしたが、微笑むと、自律神経が健康的に働きますし、呼吸も楽になります。
川上琴美先生の時間配分とか、お講座のやり方はとても参考になりました。
体幹トレーニングの有賀誠司先生のクラス
有賀先生は東海大学教授で、日本トレーニング科学会の理事などの要職をつとめていらっしゃいます。
まず限界のところまで動かして、さらにそこから力を入れてもう少し動かすと、次に力を抜いて動かしたら、あら不思議!? 関節の可動域が明らかに増えています。受講者の強化選手・準強化選手たちから、何度もどよめきが起きていました。
体幹トレーニングのイメージが変わりました。
他にもダンススポーツの演技を見て、有賀先生が考案された動きのドリル。必ず演技にプラスになりますね。
ドーピング検査の講習
興味深かったです。ドーピングの検査には、さまざまルールがあるのですね。例えば、競技が終わった後に飛行機が出ちゃうからと言って、途中で帰ってしまうと、競技も失格になるそうです。
クロ判定されると、財団法人 日本アンチドーピング機構(JADA)HPに実名が公開されます。
もし陥れられてら、それも自己責任とか。
最後のはいちばん衝撃的でした。
もちろん陥られることから守る手段もあるにはあるのですが、そのために検査を受ける選手が行う作業が結構あるのです。
未成年者の場合は必ず選手が選んだ成人の方を同伴者として連れていくとか
未成年者でなくても、権利として同伴者を連れていくことができるとか
検査機器が菅らず3つ以上あることをチェックして(3つ以上から選ぶ)、3つ以上なければその場で書面で抗議したり、
選んだキットが壊れていないことを確認するとか(異物が混入しているケースはかなりある)
キット内のすべての番号が一致しているのをチェックするとか、
そして検査係に挙動不審な点があれば、そのことも検査のときに書いて申告するなど。
薬剤師さんのいない薬局で扱うことのできる胃薬や風邪薬に禁止薬物が入っているケースもあり、協会のアンチ・ドーピング委員の方は、分からなかったら、講師の先生のところに24時間受け付けるから、電話をくださいと言ってはりました。
リオ・オリンピックでは日本代表選手の方たちがご活躍されましたが、こんなに手続きが煩雑な検査も受けられているのだと知ると、「本当にお疲れさまでした」と思いました。
かわかみひろひこのアレクサンダーテクニークのクラス
私のアレクサンダーのクラスは、最終日の1番目の90分の講座。40名くらいの強化選手と準強化選手の半分以上は中高生。
最初の50分はみんなでできるゲームを4つほど行いました。
視界と「からだ」のサポートの非常識な関係
始めのゲームの視界の注意を持ちながら右を見たり、左を見たり(わきの下への方向も実習に加えた)
自然な呼吸、背中や胴体の側面が膨らんだりふくらみが通作なったりする、二人一組のワーク
「からだ」に力の通り道を開いて、相手を押す。
その後、3 組6名の方に、実際にダンスのアクティビティのレッスン。
まず最初に演技していただき、次におふたりにもっとこうしたいという課題をうかがってから、皆さんの前で手と言葉を使ってレッスン。
そして再び演技をしていただく。
1組目の方たちとは、押しながら歩くワークを。力を伝え合いながら、その力を”上”と”下”に逃がすので、「からだ」に余計な負荷がかからなくなります。
2組目はふらつくとのことでしたので、押しながら歩くワークと、足関節のボディマッピングと、男性とは足のボディマッピングをしました。
3組目はラテン。接触したり、離れたり。この接触するときに”崩し技”が掛かっているので、それに対処するディレクションを実習思案した。
ご本人たちも、ご覧になっていた連盟スタッフの方たちからも、演技がより改善したというフィードバックをいただきました。
今回は多重迷走神経理論にかかわるワークをしようかと思っていましたが、時間の関係で一切行いませんでした。
昼食は、東海大学の有賀先生とごいっしょし、
「アレクサンダーって、はじめて聞きましたよ」
と言われて、アレクサンダーテクニークの来歴とか、カナダの陸上のナショナルチームや、乗馬のスペインやドイツのナショナルチームで採用されていることや、そしてイスラエル空軍のパイロットの訓練で用いられていることなどをお話ししました。そしてサッカー選手のアーロン・ハントさん。
お世辞かもしれませんが、「教え方の参考になりました。よくダンスの方たちにレッスンされるのですか?」ときかれました。
「有賀先生の体幹トレーニングも、巷に普及しているものとずいぶん異なるのですね」とご感想を申し上げ、他の方たちが関わっていらっしゃる。いくつか特許が撮られたトレーニングについても話題になりました。
6月に結構嫌な経験をして、それからかなり落ち込んでいましたが、今回の合宿を通して、また前に進もうと思うことができました。
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