アレクサンダー・テクニークを学ぶ現代的意義について書きます。
すでにコラムに取り上げてきた内容と重なるものもあります。
自分自身をじゃまする癖(くせ)が減っていくので、疲れにくくなり、怪我や故障が減る-アレクサンダーテクニークを学ぶ意義1
これはからだが資本のすべての方たちに朗報なはず。例えば、
オフィスワーカーの方たち
理容師や美容師の方たち
主婦または主夫
リハビリ職
外科医
看護師
介護師
タイマッサージセラピストやアロマセラピストなどのボディセラピストの方たち
演奏家・ダンサー・俳優などの表現者の方たち
etc.
なお、2008年のBuritish Medical Journalに腰痛などの背中の痛みに対するアレクサンダーテクニークの効果が証明されたことが報道されました。
Buritish Medical Journal 2008:337:a884
BBC放送でも取り上げられ、BBCのホームページで放送内容を見ることができます。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7568948.stm
ニュースキャスターがゲスト出演したアレクサンダー教師から短いターン(ミニレッスン)を受けています。
「ずいぶん変わる」「呼吸が楽になった」と言っています。
運動能力・表現力の向上-アレクサンダーテクニークを学ぶ意義2
じゃま=癖(くせ)が減っていくので、あらゆる活動がより機能的に向上します。
分かりやすく言うと、上達が早くなり、運動能力や表現力が向上します。
※ ヴァイオリン演奏が上達したエピソードは、1973年のニコラス・ティンバーゲンのノーベル医学・生理学賞受賞記念講演に掲載されています。
ノーベル財団のWEBで、講演の全文を読むことができます。こちらをご参照ください。ただし英語です。なおノーベル財団のウェブはかなり頻繁に内部リンクが変更されます。でなかったときには、ノーベル財団のウェブで、Tinbergenと検索ください。
ノーベル財団のウェブからは、音声付き動画も見ることができます。こちらをご覧ください。
ちなみに日本語版は、大きな図書館に行くと、読むことができます。 『ノーベル賞受賞演説集 医学・生理学編13』講講談社。
要旨でよろしければ、こちらをご参照くださいませ。
からだつき・雰囲気=構造の変化-アレクサンダーテクニークを学ぶ意義3
じゃま=癖が減ると、筋骨格系への力学的な力のかかり方が変わって行くので、構造が変わって行きます。
分かりやすく言うと、
若返りの効果
明るい雰囲気になる
女性の場合は特に美容効果
男性の場合はオタクっぽさが亡くなる効果
※ これらの効用についても、1973年のニコラス・ティンバーゲンのノーベル医学・生理学賞受賞記念講演に詳しく掲載されています。
ストレス耐性が増し、落ち着きが増す=精神的な効用-アレクサンダーテクニークを学ぶ意義4
自分の使い方を変える=刺激に対する反応を変えていくことによって、精神的な効用があります。
分かりやすく言うと、ストレス耐性が強くなったり、落ち着きが出てきたりします。
※ これらの効用についても、1973年のニコラス・ティンバーゲンのノーベル医学・生理学賞受賞記念講演に詳しく掲載されています。
見取り能力のUPあるいは共感力&アドバイスの能力のUP–アレクサンダーテクニークを学ぶ意義5
1990年代初頭に猿の実験で、ミラーニューロンが発見されました。脳科学上の大きな発見です。
どのようなニューロンかというと、「鏡に映したように、自分がある行為をしても、他者が同じ行為をするのを見ても活動する」(『心を生みだす脳のシステム』茂木健一郎著 NHKブックス31頁より)ニューロンです。
チンパンジーにモノをつまませて、脳の中のどの部位に対応しているのかという実験の休み時間に、科学者たちがジェラードをつまんでいると、それを見ていた猿の、自分がモノをつまんだときに反応していた脳の部位が、あたかも自分自身がつまんでいるのと同じように反応していたのです。
初めは視覚について発見されましたが、行為をイメージできるようなヒントを十分に与えられれば、実際に見ていなくてもミラーニューロンは活動することが分かりました。
具体的には、紙を裂く、ピーナッツの殻を割るなど独特の音を伴う手の動きをチンパンジーに観察させ、その時のミラーニューロンの活動を記録し、次に音だけを聞かせてみたところ、行為を観察しているときに反応した多くのミラーニューロンは、その音を聞くだけでも反応することが分かりました。
現在では視聴覚ミラーニューロンと呼ばれています(日経サイエンス2007年2月号をご参照ください)。
私は、個人的に演奏の音を聴いているだけでも、その演奏者のどこにどういう癖があるのか分かることがしばしばありますが、視聴覚ミラーニューロンを知ることによって、本来経験によって培われる土台が備わっているのだと分かりました。
この視聴覚ミラーニューロンは、人の学ぶ能力・助言する能力・他者に共感する能力の土台になっていると考えられています。
しかし、他者がやっているのを見ても、自分がやっているのと同じ脳の部位が反応するということは、とりもなおさず、他の人の行為を自分能力の範囲内かそれよりもすこし大きい領域でしか観察することができないのではないかと思うのです。
ずいぶん前に前こういうことがありました(※ 筆者注:どなたが関わった事例であるのかを特定することをを防ぐために。複数あったエピソードを1つにまとめています)。
カルチャーセンターのアレクサンダーテクニークのお講座にいらしたフルーティストの方が「演奏するときに呼吸が苦しい」という訴えをされました。
それについてはアレクサンダーテクニークのレッスンの中で解決の糸口が見つかったのですが、クラスに来られていた施術の先生が次のようなことをおっしゃいました。
「フルートを演奏するような行為はからだを捻(ねじ)るから、体に悪い。だから、やめるべきだ」
その方はおそらく親切心からおっしゃったのでしょう。
そこでその施術の方にフルートを演奏するまねをしていただきました。確かに、頭を胴体の方向に押しつけ、胴体を妙な形に捻っており、苦しそうです。
そこでもう1度言葉と手を使ってその施術の先生を指導したら、
「あっ。これなら捻れませんね」
私は次のように言いました。
「そうでしょう。やり方しだいで、カラダに悪くも良くもなるんです。 そしてさっきのフルーティストの方は、いちばん最初にひとりで貴方が されたのよりもずっと楽にフルートを構えていらしたんですよ。」
その施術者の先生も納得されていました。
それまでもうすうす気づいていたのですが、どうやら観察は、常に自分の癖に足を引っ張られるらしいということが分かりました。
もしそうであれば、自分自身の癖が減ることで、見取り能力=学習能力が高まる可能性があります。
そして人に共感し、適切なアドバイスをするの能力が高まるかもしれません。
さあ、あなたはどうなさいますか?
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コラムの目次はこちらに。
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