はじめに
最近アレクサンダーテクニークについてそれほど経験のない方が、アレクサンダーテクニークのことを引き合いに出して、雑誌などで、マッサージをされる方やアロマテラピストが体を傷めない方法を発表されることがありました。
でも、たいていは的外れで、臨床の現場で役に立たないことばかり。腕はどこから始まりますとか、手の断面図はこうなっていますとか、複数の本に書いてあることをそのまま引用するだけ。
そういう記事を読まれて、疑問をもたれた方たちから、私のところにアレクサンダーテクニークがアロマセラピストやリフレクソロジストにどのように役立つのかということについて照会がありましたので、この場をお借りして回答いたします。
リフレクソロジストやアロマセラピストが指や腰その他を痛める原因に関するアレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこの考察
クライアントさんに体重をかけようとして、セラピストがクライアントさんにのしかかるため。あるいはご自身の指に逆関節技をかけながら施術されるため。
あるいは、セラピストの師匠からの「腰から力を出す」「腰から行く」という教えを誤解して、腰を前に突き出して、胴体を背骨(とお腹の筋肉)で支えられなくなるため。
クライアントさんにのしかかることで、ご自分の体が地面からサポートされなくなり、鎖骨・肩甲骨を必要以上に動かしすぎたり、手を使うときに肋骨ごと持ち上げたりするので、ご自分の腕・胴体を背骨(とお腹の筋肉)でサポートできなくなります。
その結果、セラピストは脚や腰や背中や腕に慢性的な痛みや故障を抱えることになります。
アレクサンダーテクニークを使った対処方法
自重(自分の「からだ」の重さ)は、完全に自分で支える(相手にのしかからない)。
腕の重さも自分で支える。
股関節・膝関節・足首をきちんと曲げる(曲げようとするところと実際に曲げるところにギャップがないか知る)。
手をクライアントさんに添えるとき、少し思う。頭全体の大きさ・胴体全体の大きさを思い出し、手が胴体から離れていくと思う。手が動いて前腕がついてきて、上腕がついてきて、鎖骨・肩甲骨がついてくると思う。
指や手の構造を思い出す。
すなわちどこで曲がるか(伸ばしているときでもどこで曲がるのか知っている指でいる)
掌のなかに中手骨があることなど(指先に意識を集中しないほうがよい)。
ここでいう『伸ばす』とは、行くところまで行くという意味ではなく、骨と骨が向き合うところまでです。
ご自分に逆関節技をかけていませんか?
アレクサンダーテクニークを実践することによる効果
アレクサンダーテクニークを実践すると、全身が楽になる。
クライアントさんに特に強い圧をかけていないのに、クライアントさんは細く強い力を感じる。
この『強い圧』というのが曲者で、たいていはセラピストの身体・指の中で終わり、自分自身の身体を傷めることに作用し、相手にはまったく届いていないのです。
確実に変わるために
ここで書いたことは人によっては意味不明か、あるいは難しいと思われる人もいらっしゃるかもしれません。
けれども、かわかみひろひこのアレクサンダーテクニークのレッスンを受講されたら、初回から経験できます。
もちろん自分ひとりでできるようになるためには、もちろんアレクサンダーテクニークのレッスンの継続した経験が必要です。
必要な回数は、その方の癖や思い込みの強さに応じて異なりますが、感覚の再教育まで行うので、不調・故障を抱えた多くのボディーセラピストには、少なくとも15回から30回までのレッスンが必要となるでしょう。
コラムの目次はこちらに。
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