押し下げ。私たち自身が行っている、私たち自身の活動をじゃまする微細な動き。筋肉で起こっていることは、骨格筋のある動きについての主働筋と拮抗筋との同時収縮(共収縮)。
認識しているかどうかでは、次の2つに分けられる。
(1)気づかないで行っているものと
(2」「よかれ」と思っておこなっているものとがある。
また原因別に見ると、次の つに分けられる。
(1)周囲の大人の真似をして身に着けた癖
(2)周囲の大人の「よかれ」と思った注意から身についた癖
(3)怪我やトラウマティックな出来事によって身に着けた癖
(4)観察力のなさによる思い込みから身に着けた癖
Contents
内容を認識しているのかどうか
(1)気づかないで行っているもの
例えば、台車を前方に押し出そうとして、頭を胴体に押し下げ、特に胴体の後ろ側を押し下げ、地面から足の裏が浮足立つ。全身に力みがあるが、結果的には有効な力が台車には伝わらなくなる。
(2」「よかれ」と思って行っているもの
例えば女性誌の「デコルテをきれいに見せるためには、肩を後ろに回して下に押し下げる」という記事を鵜呑みにして実践すること。
そのように行うと、a.首や背中側の筋肉が緊張し、b.広背筋が収縮するので腕が持ち上がりにくくなり、c.呼吸にともなう胴体の背中側や側面の動きも阻害されて、d.呼吸が制限され、e.呼吸が制限されるので、本来の力強さがまったく発揮できない。
原因別
(1)周囲の大人の真似をして身に着けた癖
成長過程で起こる。大人の責任は重い。
(2)周囲の大人の「よかれ」と思った注意から身についた癖
例えば、頭の後ろとお尻を含めた胴体の背中側と踵が一直線に並ぶのがよい姿勢であると思い込み、その科学的根拠のない思い込みを子どもたちに押し付けること。
(3)怪我やトラウマティックな出来事によって身に着けた癖
例えば脚を骨折してギプスをつけたときには、ケガを治すために骨折した周辺の動きを制限する必要がある。そのような状況下で、日常生活を送るために、代償運動(運動学の用語:本来の動作や運動を行うのに必要な機能以外の機能で補って動作や運動を行うこと)を行う必要が出てくることもある。
しかし、怪我が治った後になっても、その代償運動を続けると、かえって、動きをじゃまする場合もある。ただし、器質的な欠損を負ったときには、代償運動が有効な場合もあるので、すべての代償運動が悪いと言うのではない。
トラウマティックな出来事、例えば自動車運転中に後ろから追突されるときに、身を固めることは怪我をしないためには必要なことだが、その後の日常生活でその状態が続くと、日常生活が送りにくくなる。
(4)観察力のなさによる思い込みから身に着けた癖
芸事などで、上級者の動きを見て、誤った理解をする場合がある。観察力のなさが原因だが、それによって上達は遅れ、不調が増すことがある。
私たちの脳にはミラーニューロンがあり、他者に共感したり、表情を見て相手の感情を推し量ったり、見て学んだりする能力の基盤になっていると言われている。
しかし、私たち自身に癖が多いと、誤った観察をすることがある。このことについて、詳細は、こんなかたに役立ちます-『観察力・見取り能力(見て学ぶ能力)をUPさせたい方』を参照ください。