災害にあわれたとき、あるいはテレビや新聞で見たとき、私たちの神経系の働きは乱れることがあります。

人によっては、顔を上げたり、だれかと目を合わせるのが辛くなり、伏し目がちになります。

そんなときにお勧めのワークがあります。

 

私たちと外界との境は皮膚ですが、実はその外側にも境界があります。別にオーラとかエーテル体とか、オカルティックな話をするつもりはありません。

 

論より証拠。だれからに3メートル離れたところで、指を動かしてもらいましょう。特にどうということはありませんね。

でも、次に皮膚から15センチほどのところで指を小刻みを動かしてもらったら、どうでしょう? 厭(いや)ですよね? でも、そこには神経は通っていない。では、なぜ不愉快さを感じるのでしょう?

 

実は、私たちの身体の周辺には、脳にマップされた空間があります。おおよそ腕の届く範囲。脳神経科学や認知科学や脳科学では、ペリパーソナル・スペースといいます。日本語では身体近接空間

 

この空間は、特に道具と接触したときに膨らみますが、今回はその話には触れません。

 

このペリパーソナル・スペースは、道具を持たないときにも、薄くなったり、一部が小さくなったりすることがあります。

なにか突発的な出来事にあって、それが大きくても小さくても、私たちの神経システムが堪えられないと、そういうことが起こります。

災害時によく起こります。

 

 

ワークの手順を説明します。

周囲の空間に腕を伸ばしまして、私たちの周囲の空間に触ります。適当で構いませんので、「そこの境界があるんだよ~」と思いながら。

願わくばそのときにアレクサンダーテクニークのインヒビションとディレクションを使って、アレクサンダーを体験されていない方は、胴体の側面を斜め後ろ上方向(肋骨の方向)に思ってから、腕を動かします。

上に手を伸ばしたり、後ろを向いて腕を最初の位置より後方に伸ばしたり、横向きになって、元の位置よりも前後に腕を伸ばしたり、しゃがんで立っていたときの脚の周辺の空間も触れます。

 

するとどうでしょう。視線を自然に上げることができるようになります。前回ご紹介したワークとの併用をオススメします。

 

このワークは視界がとても広い人には効果がないことがあります。そのケースでは個別にオプショナルな指示が必要になります。

 

一生懸命頑張って、顔を起こしてたら、かえって疲れてしまいます。エネルギーの保持という観点からも、無理やり視線を上げることはやめたほうがよいでしょう。

 

 

掲載に際して、アレクサンダー・テクニークのベテランの教師で、私の先生のウィリアム・コナブル博士のワークと、ソマティック・エクスペリエンシングの浅井咲子先生、アレクサンダー・テクニーク&アイボディのピーター・グルンワルドさんのワークとマティアス・アードリックさんのワークを参照させていただきました。