レッスンに数回いらしている生徒さんたちから、踊りの手順が覚えられないと今までに何度か相談されたことがあります。
少し話していて、多くの方はバー・レッスンの手順は問題ないことが分かりました。
どうやら、空間を動くと、どうしてよいのか分からなくなるようなのです。
空間の中での動きが少ないと、景色が動かないので、自分自身がどこにいるのかよく分かるようなのです。それが、動いてしまうと、「基準」が分からなくなる。
これはどうも目からの情報(視覚情報)の、空間のなかでの把握に占める優位性が高いからではないかと思います。
もちろん、視覚情報は大切です。
けれど、その比重が大きいと、処理時間が多くかかるので、間に合わなくなるのです。
では何の比重を増やすのかと言うと、プロプリオセプション(固有覚)です。生理学上の用語です。
これは次の3つの要素からなると言われています。
位置の感覚
速さの感覚
力の感覚
例えば、私たちは空間の中で自分自身の右手がどこになるのかということを(位置の感覚)、目をつぶっていても把握できます。
同様に目をつぶっていても、どのくらいの速さで腕を振っているのか分かります。
同様に台車を押すときに、腕にどれくらいの力が入っているのか分かります。
これが固有覚のなせる業です。
長い間正座していて足がしびれると、足がどこになるのか分からなくなるので、歩行が困難になるという経験をされたことはありますか?
このとき足についての固有覚がじゅうぶんに使えなくなるわけです。そして、その場合は視覚情報をいつもよりも空間の認識のためにもっと使って、つまり足を目で観察して位置を把握しながら動かさないと危険ですよね? 足の講側から地面に着いたら、足首を痛めてしまうこともありますから。
もちろん、そうなると動きは遅くなります。
同様に、空間を把握するのに、視覚情報に頼る割合が大きいと、どうも身体表現などのパフォーマンスが低下し、処理情報が多くなりすぎるので、なかなか覚えられなくなるということが起きるようです。
ではアレクサンダー・テクニークを学ぶとどうなるのか? 少しずつ固有覚が開発されてきます。
参考になりましたか?
初出 2007年05月11日 07:45 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=18290393&comm_id=1240902
今回の再掲載に際し、少々書き直しました。
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