私は、リハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の方たちに教えることがございます。
本日は、これらの方たちのレッスンで行なっていて、評判のよい、アレクサンダーテクニークを移乗動作(トランスファー)に応用したら、どうなるかということを見てゆきましょう。
ご存知のない方のために説明いたしますが、移乗動作というのは、例えば
介護用ベッドに起こした被介助者(介助される方)を車椅子に移したり、
車椅子の上にいらっしゃる被介助者の方をお手洗いの便座に移したり
するときなどに行います。
下の3枚の写真は。よくある失敗例の連続写真です。



被介護者(介護される方)を移乗するときに、腕の力で持ち上げようとして、そして自分自身の腰(胴体下部)を斜め前方下に押し下げることによって、結果的に介助者は自分自身を押しつぶし、「からだ」の中の”力の通り道“を塞いで。結果的に持ち上げるのを困難にしています。
もちろん、このように行なっても、持ち上がらないことはないのですが、首まわりや肩まわりや腰まわりりや膝まわりに、違和感や筋肉痛やひどい疲れが残ることになったり、痛みが生じるリスクは高くなるでしょう。
そして、そのように介助者の「からだ」に違和感・痛み・ひどい疲れを伴うときには、被介助者(介護される方)の居心地も悪くなります。彼らの”からだ”にも、大きな負荷がかかります。
では、どのようにしたら、快適に行うことができるでしょうか?
下の写真は、アレクサンダーテクニークのレッスンでよく行われる、手を繋いだスクワットです(もちろんすべてのアレクサンダーテクニークの教師が行う訳ではありませんが。。。)。
手を繋いだスクワットを剃る前に、両者が
自分自身に少し余裕を与えて(インヒビション)
”首が自由になるのを許してあげて、(どんなふうにかというと)頭が前に上に、(どんなふうにかというと)背中が長ーく広ーく、(どんなふうにかというと)両膝が前にそしてお互いに離れてゆく、すべてが同時にそして順番に”=ディレクションを思って、
お互いに後ろに倒れてゆくと、相手の体重と自分の体重がどこかでつり合って、
ふたりとも
相手によって自分自身の前方に引っ張られず
自分自身が後ろに転ぶこともなく
スクワットしてゆくことができますし、立っていくことができます。
もちろん、首や肩や腕や腰や太腿や膝や足には、一切負担はかかりません(負担がかかっていたら、失敗です)。
”手をつないだスクワット”は、必ずアレクサンダーテクニークの教師から指導を受けて行うようにしてください。
手を繋いだスクワットのよくある失敗例は左の写真です。
頭が押し下げられ、首まわりや肩まわりや腰まわりや膝まわりに大きな負担がかかります。
手を繋いだスクワットの成功例のアイディアを、移乗動作(トランスファー)に使ってみたら、どうでしょう?
被介護者(介護される方)を腕で持ち上げるのではなく、(手を自分の胴体に近づけるのではなく)、腕を力の伝達機関として使います。
アレクサンダーテクニークの原理を使いつつ、後ろに倒れます。そのようにすると、相手の体重と自分自身の体重の力のつり合いで、自分自身にも相手にも負担をかけず、被介護者(介護される方)が持ち上がります。



からだの向きを変えるときは、再びアレクサンダー・テクニークの原理を使います。少しだけあなた自信に時間を上げて、ディレクションを思います。特に方向を変えるときには。両膝を胴体の方向に押しこみやすいので、”両膝が前にそしてお互いに離れてゆく”方向を一瞬一瞬思います。
相手をもう1つの椅子に下ろすときに、再度自分自身が後ろに倒れてゆくことで、相手の重さと自分自身の重さのつり合いを撮ります。そのようにすると、相手はドスンと落ちずに、静かに椅子の座面に着地できます。
いかがでしたでしょうか? 参考になりましたでしょうか?
続きはレッスンで行いましょう。
注意:
介助される方(被介助者)の状態に合わせて。くれぐれも無理をなさいませんようにご注意くださいませ。
この動画および文章の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当方は一切責任を置いません。くれぐれも自己責任でお願いします。
2013年9月25日追記
懇意にさせていただいていた、介護の専門の方から、これは「介助」ではなくて、「機械的な運搬」であり、そして介助される方への教育的配慮がないというご批判をいただきました。
その方の視点からは、そうなのでしょう。お忙しい中、率直にご批判をくださいましたことには、感謝しております。
しかしながら、まず介助する方が怪我や不調から回復できなければ、介助を続けることもできませんし、介助する方が介助するときに快適でなければ、介助される方にいかなる”気づき”ももたらされることはないと存じます。
同様の批判をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そのような方にこそ、ご自分自身がご自分自身に過剰な負担をかけずに介助されているか、再度顧みていただきたく存じます。
コラムの目次はこちらに。
コメントを残す