eagle blueアレクサンダーテクニークは先生に師事して、芸事や技術を学ばれる方たちにも役立ちます。

私たちの観察能力は実は私たちの癖に影響を受けます。観察する対象(例えば先生や技量のある兄弟弟子)が行なっていない癖(くせ)を私たちは「見て」しまい、結果的に学ぶべきことを学べなくしています。

アレクサンダーテクニークは、そのような私たちの癖をやめていくことに役立ちます。

 

もう少し、詳しく私たちの観察能力が癖に影響を受けるメカニズムを説明します。

1990年代初頭に猿の実験で、ミラーニューロンが発見されました。脳科学上の大きな発見です。
どのようなニューロンかというと、「鏡に映したように、自分がある行為をしても、他者が同じ行為をするのを見ても活動する」(『心を生みだす脳のシステム』 茂木健一郎著 NHKブックス31頁より)ニューロンです。

 

チンパンジーにモノをつまませて、脳の中のどの部位に対応しているのかという実験の休み時間に、科学者たちがジェラードをつまんでいると、それを見ていた猿の、自分がモノをつまんだときに反応していた脳の部位が、あたかも自分自身がつまんでいるのと同じように反応していたのです。

 

初めは視覚について発見されましたが、行為をイメージできるようなヒントを十分に与えられれば、実際に見ていなくてもミラーニューロンは活動することが分かりました。

 

具体的には、紙を裂く、ピーナッツの殻を割るなど独特の音を伴う手の動きをチンパンジーに観察させ、その時のミラーニューロンの活動を記録し、次に音だけを聞かせてみたところ、行為を観察しているときに反応した多くのミラーニューロンは、その音 を聞くだけでも反応することが分かりました。

 

現在では視聴覚ミラーニューロンと呼ばれています(日経サイエンス2007年2月号をご参照ください)。

 

私は、個人的に演奏の音を聴いているだけでも、その演奏者のどこにどういう癖があるのか分かることがしばしばありますが(親しくさせていただいる音楽の先生たちからもそういう現象があることをご報告いただいています)、視聴覚ミラーニューロンのメカニズムを知ることによって、本来経験によって培われる土台が私達のシステムに備わっているのだと分かりました。

 

この視聴覚ミラーニューロンは、人の学ぶ能力・助言する能力・他者に共感する能力の土台になっていると考えられています。

 

しかし、他者がやっているのを見ても、自分がやっているのと同じ脳の部位が反応するということは、とりもなおさず、他の人の行為を自分能力の範囲内かそれよりもすこし大きい領域でしか観察することができないのではないかと思うのです。

 

ずいぶん前に前こういうことがありました(ここから申し上げる事例は、特定性がないようにするために複数の事例を1つにしています)。
カルチャーセンターのお講座にいらしたフルーティストの方が
「演奏するときに呼吸が苦しい」という訴えをされました。
それについてはレッスンの中で解決の糸口が見つかったのですが、クラスに来られていた施術の先生が次のようなことをおっしゃいました。
「フルートを演奏するような行為はからだを捻(ねじ)るから、体に悪い。だから、やめるべきだ」

 

その方はおそらく親切心からおっしゃったのでしょう。

 

そこでその施術の方にフルートを演奏するまねをしていただきました。確かに、頭を胴体の方向に押しつけ、胴体を妙な形に捻っており、苦しそうです。

 

そこでもう1度言葉と手を使ってその施術の先生を指導したら、
「あっ。これなら捻れませんね」

 

私は次のように言いました。
「そうでしょう。やり方しだいで、カラダに悪くも良くもなるんです。 そしてさっきのフルーティストの方は、いちばん最初にひとりで貴方が されたのよりもずっと楽にフルートを構えていらしたんですよ。」

 

その施術者の先生も納得されていました。

 

それまでもうすうす気づいていたのですが、どうやら観察は、常に自分の癖に足を引っ張られるらしいということが分かりました。

 

自分自身の癖が減ることで、見取り能力=学習能力が高まる可能性があります。
そして人に共感し、適切なアドバイスをするの能力が高まるかもしれません。

 

さあ、あなたはどうなさいますか?
実際にアレクサンダーテクニークのレッスンを受けてご覧になりませんか?

 

講師かわかみ ひろひこ プロフィール

new-profile-smallアレクサンダーテクニークを教え始めて、10年の実績があります。

学生時代からある芸事を修行するが、20代後半になったときに、たまたま撮影した芸事を行なっている自分自身の動画を見て、あまりに思っていたものと異なっていたために(あまりにひどかったために)、自分だとは気づかない経験をしました。

その後精進のためにお稽古に撃ちこんだものの、先生からアドバイスをいただいて、その通りにやっても、うまくいかないばかりか、先生から「違う」ときつく叱られました。

その後1997年にアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けるようになりました。私のアレクサンダーの最初の先生はスイス人の先生で、「からだ」の使い方はよかったのですが、必ずしも教えることが上手い人とはいえず、ほぼ無言でレッスンする方でした(それでも、「わたくし」自信に余裕を与えるインヒビションの原理については、きちんと教えていただきました)。

そうしたレッスンの中で、アレクサンダーで学んだことを言語化する作業を独自に始め、結果的に芸事の先生のおっしゃったことを瞬時に理解て切るようになりました。

 

1999年にアレクサンダーテクニークの教師養成コースに通い始め、2003年から教え始めましたが、教える経験の中で。自分自身の経験も踏まえて、芸事の先生のアドバイスの買得メソッドを確立しました。