ピアノ演奏される方の中には、手の大きさの大小に関わらず、オクターブを弾くときに、あるいは分散和音を弾くときに、あるいはがじゅうぶんに開かない、痛い違和感がある、指が鍵盤に満足いくほど届かないという方がいらっしゃいます。

 

この状態は関節に関節技がかかっている状態です。

 

ピアノを演奏するときに鍵盤から戻ってくる反力反作用)はとても大きいので、もしピアノの演奏中あるいは演奏後に違和感。痛み。ひどい疲れをお感じでしたら、この反作用の力を瞬時に全身に分散する必要があります(ヨーゼフガート「ピアノ演奏のテクニック」)。詳細はこちらを参照ください。

 

そのためには、
A.鍵盤に降りてゆくときにからだのどこかを押し下げる(押しつぶす)ことをやめて、常に全身が伸びやかでいる必要があります。

アレクサンダーテクニークで言うところの、head-neck-back coordination(日本にアレクサンダーテクニークをもたらした片桐ユズルさんの訳では、頭と首と背中の関係性)、あるいは頭と背骨の関係を整えることです。
B.かかっている関節技は解く必要があります。

 

 

 

今回は扱うのはBの一部です。手を鍵盤を弾くときのようにしてみましょう(指を開かない状態。手が指(拇指と他の四指と掌の関係が平面的になっていませんか?

 

実はこの状態は掌から拇指に向かう筋肉(屈筋群)と手の甲・指の甲側を通って拇指に向かう筋肉(伸筋群)が同時に緊張しやすいなります。

これを生理学的には、共収縮同時収縮と言います。平たく言えば、指周りが固まって動きにくい状態です。

この状態から鍵盤を弾こうとすると、動きをじゃまされるので、掌から拇指に向かう筋肉(屈筋群)が拇指が鍵盤に降りるたびに、さらに大きく緊張する必要があります。

そうなると他の四指も必ず固まります。たぶん反射の一種なのだと思いますが、握ろうとする動きが起こります。

 

また、ピアノを演奏するためには、掌を握りこむようにしては弾くことができませんので、同時に掌を開く筋肉も緊張します。
これがオクターブを弾くときに指や掌周辺にかかっている関節技の正体です。

 

 

 

実はこのとき同時に、手首や肘や肩や首や腰にも関節技が掛かるのですがそれに場合分けをしながら書くと、非常に文章が長くなるので割愛します。

 

指や手に関節技に関節技をかけない方法があります。

 

解決策⑴ 指がどこで曲がるのかはっきりさせる解決策⑵指だけに注意を払うのではなく、手の甲・掌にある指の根元の骨(中手骨)から指先にまで、なるべく均等に注意を払う

⑴などはボディマッピングの本にも書いてる方法なので、試された方は多くいらっしゃるでしょう。

⑵については、解剖学の本やボディマッピングの本を読んで指の根元にある中手骨の存在を知っても、それをどのようにしてピアノの演奏に使ってよいのかわからない方が多くいらっしゃるようです。
繰り返しになりますが、手の甲・掌にある指の根元の骨(中手骨)から指先にまで、なるべく均等に注意を払うことが必要です。

 

 

ここまで読んでいただきましたら、実際にオクターブを、分散和音を弾いてみましょう。

 

そして、ここまでだけでも指や手にあった違和感や痛みが軽減された方がいらっしゃるでしょう。

 

 

残念なことにその中には、別のところ違和感が増す方もいらっしゃるかもしれません。

そういう方は別の部分に掛かる関節技を解く必要があります。あるいはAの全身を伸びやかに使うという課題を解決する必要があります。

 

ぜひアレクサンダーテクニークのレッスンをご受講ください。可能であれば、ピアノを演奏する方へのレッスンに長けている方が望ましいです。

 

 

解決策⑶
ピアノを演奏する手の”かたち “に気をつける。
実は反対のお仕事をする筋肉同士を同時に収縮することを予防しやすい かたちがあります。

写真の通り、手から指にかけて縦のアーチと横のアーチがあります。これを
仮にピアノを弾く手の機能的優位を引き出しやすいポジション(手の機能的優位なポジション)と呼びます。

 

大東流合気柔術を嚆矢とする合気道などの合気系の武道で、”朝顔の手“と呼ばれているものに近いです。

 

重要なのは、単なる形ではなくて、拇指の中手骨と人差し指の中手骨とのあいだの筋肉を解放し、五指関わる屈筋群と伸筋群が同時に収縮することを防ぐことです。
手を強張らせて、同じような手の形を作っても、意味がないどころかかえって有害です。

 

屈筋群と伸筋群が同時に収縮することを防ぐための具体的方法について書くと、とても煩雑ですので、ここでは割愛します。もしご興味がございましたら、実際にアレクサンダーテクニークのレッスンをご受講ください。

 

では、以上のことに気をつけて、オクターブや分散和音を弾いてみましょう。

 

手の機能的優位なポジションから手を開き、手を開く必要がなくなったら、必ず手の機能的優位なポジションに戻ってきてください。

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

より自由にピアノを演奏しやすくなった方たちへ
よかったですね。もっと自由に演奏されたいとお思いでしたら、レッスンをご受講ください。

 

 

変わらなかった方たちへ そして 同じところにより負担が増えた方たちへ
初めの負担は減ったが、別のところに負担がより増えた方たちへ
ぜひピアノを演奏中に全身を伸びやかにでき、活動中にかかる関節技の原因を軽減できるアレクサンダーテクニークのレッスンをご受講ください。