ごくたまに見かけますが、ピアノを演奏するときに極端に前傾して(45度から60度近く傾いて)演奏する方がいらっしゃいます。

そのなかには、大きく分けて2つのタイプの方がいらっしゃいます。

  1. 大きな音を出そうするときに、極端に前傾する方
  2. 常に極端に前傾して演奏される方

では問題点を1つずつ検討してゆきます。

 

大きな音を出そうとするときに、極端に前傾する演奏法について

 

フォルティッシモやフォルテで演奏するときに、前傾してピアノに胴体の重さを預けようとする方がいらっしゃいます。

そうするときによって、胴体の重さが腕を通して鍵盤に伝わりやすくなり、確かに多きのとが出ます。

しかし、そのような演奏法には次の9つの欠点があります。

  • 音に雑音が混じりやすい
  • 側鳴りするが(ピアノの側では音が大きく聞こえるが)、広いホールの後ろ側では存外音が聞こえなくなる
  • 微細なコントロールがしにくい
  • 前掲することで、前に転倒することを防ぐために背中側の筋肉が緊張する
  • その結果、広背筋が緊張し、腕を鍵盤の上に保持するのが困難になり、またしなりを使った奏法が困難になる
  • 背中側の筋肉が緊張する結果、呼吸がしにくくなる(詳細は後日UP予定)
  • 呼吸がしにくくなる結果、力強さを容易に発揮できなくなる(詳細は後日UP予定)
  • 背中の筋肉が緊張する結果、背骨に大きな負担がかかり、腰痛等の原因になり得る。
  • 前傾することによって、座骨で胴体や腕や頭を支えられなくなり、足で支えなければならなくなる。

 

1番目の雑音が増える理由は、鍵盤を押し下げる方向と鍵盤が動く方向にズレが生じるからです。これについては、こちらをご参照ください。

3番目の微細なコントロールがしにくくなる点については、手首をグニャグニャさせることで対応しようとする人もいますが、手首で物理的なエネルギーの伝達が途切れるので、手首から肘のあいだのどこかを痛めやすくなります。

また、8番目の背骨への負担ですが、体重60キロブラムの方の場合、200キログラムを越える重さが背骨にかかります(『病の起源1』2009年2月 NHK出版 115頁参照)。

打鍵のタイミングで、背骨にかかる負担が減りますが、それ以外のときには背骨に負担がかかったままになります。そのような状態でいると、腰や腰以外の背中側に違和感が生じたり、腰痛になったりする原因になります。

 

常に極端に前傾して(45度や60度)演奏する

そのように演奏する方は、滅多にいませんが、稀にいます。

どのようなケースかというと、

  • 本番で椅子との距離をふだんより長く取ってしまったとき
  • i以前は背中側を潰して演奏していた人が、あるときいつもよりは前傾して演奏したときにたいへん調子がよく、それが感覚的に45度から60度くらい傾いているように感じられたために、その誤った感覚的評価にしたがって、演奏するようになったとき

前項同様の欠点が常に生じるので、お勧めできません。

少なくとも、2018年2月末まで、日本ではそのように極端に前傾して演奏することを推奨するピアノの本は1冊もありません。

 

 

 

2018年5月13日()10時から16時45分 東京にて、ピアノを演奏する方の課題を解決するための1日講座を行います。詳細はこちらに。

腕の重さで演奏することや、しなりを使った奏法についても実習します。

 

 

 

つぎのような課題がある方のための個人レッスンまたはグループレッスン。詳細はこちらをご参照ください。

    • 演奏中、演奏後に違和感痛み、ひどい疲れを感じる
    • さくて、手を開くのが苦手
    • 「腕重さ演奏しなさい、きなさい」と注意を受けるが、どうやってよいのか分からない。
    • 脱力が分からない
    • お腹の支えが分からない
    • 初見演奏するのが苦手(練習すると疲れる)
    • 演奏のこもる広がらない
    • ペダリングで脚が重い。間に合わない、右足首がいつも筋肉痛。
    • 苦手がある。あるいは演奏しにくいフレーズがある。
    • リストが苦手
    • バロック音楽の演奏が苦手
    • 速いパッセージが苦手。あるいは、速いリズムでかろうじて弾けるが、リズムについていけない。
    • オクターブが苦手。。手や腕が痛くなる。指が届きにくい。
    • 大きな音フォルティッシモフォルテ)が苦手。音が出ない。あるいは大きな音で演奏すると、雑音が混じりやすい
    • 跳躍が苦手
    • 上行が苦手、下行が苦手
    • 連打が苦手
    • 小さい音ピアニッシモピアノ)で演奏するのが苦手。音が入りにくい。音が出ない。
    • クロスバンドが苦手。
    • 本番で上がりやすい。緊張しやすい。
    • 音の粒がそろわない。
    • 音の密度が乏しい。