アレクサンダーテクニーク教師の”ピアノ演奏指導者の「手首を柔らかく」という指示”の考察

アレクサンダーテクニークの教師かわかみひろひこにとって謎だった、ピアノの先生の「手首を柔らかく」

アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこが読み解いた、ピアノの打鍵の際に「手首を柔らかく」の意味
アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこが読み解いた、ピアノの打鍵の際に「手首を柔らかく」の意味

ピアノの先生のなかには、「手首を柔らかく」とご指導される方がいます。

そのようにご指導を受けて、手首をグニャグニャにしたら、ピアノが演奏できなくなって、私のアレクサンダーテクニークのレッスンにお見えになる方が、たまにいらっしゃいます。

おそらくその生徒さんがピアノの指導者の方の指示を誤解されたのでしょう。しかし、そのピアノの先生たちが、彼ら彼女らの先生の先生が、あるいはピアノを自由に演奏できる誰かが、「手首を柔らかく」という言葉を使っていったい意図していたことはずっと謎のままでした。

たまたまお近づきになった、本当に演奏の素晴らしい何人かのピアニストの方たちは、「手首をやわらかく」とはおっしゃらなかったので。

アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこ、重力奏法の意味を知る

あれはナンセンスな指示なのだろうかと思い始めた頃、『弟子から見たショパン―そのピアノ教育法と演奏美学』(音楽之友社)が出ました。

ショパンは当時のヨーロッパの、「巨人の星」の大リーグ養成ギブスのようなものを使って若い演奏家たちを指導を受けるやり方に批判的で、ピアノ演奏の教育のために原稿を残しましたが、その中で「手首やわらかく」と書いているのです。

。。。謎は深まるばかりでした。

謎が消えたのは数ヶ月前。以前「ピアノ演奏のテクニック」を読んで、腕の重さを使って演奏すると俗に言われているのは(つまりいわゆる重量奏法重力奏法のことですが)、全身に力の通り道を開いて、指先から受け取った鍵盤からの反作用の力(反力)を瞬時に全身とからだの外側に分散することを学んだことについて書きました。

憶えていらっしゃるでしょうか? 詳細はアレクサンダーテクニーク教師の腕の重さで弾く–重量奏法・重力奏法に関する考察をご参照ください。

そして、「手首を柔らかく」はその重量奏法の一部であったことに、ようやく気づいたのです。つまり鍵盤に作用する力も、鍵盤からの反力も、手首を通り抜けてゆくのを止めない(手首で血がらが衝突するのを避ける)。そういう意味だったのです。

*** ここから 2018年2月10日 追加 ***

アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこ重力奏法としなりを使った奏法の整合性を理解する

そして、手首のところに力の流れを止めずに、”力の通り道を開く”ためには、手首から肘にかけての前腕部指の動きに連動させる必要があります。

前腕部に尺骨と橈骨の2つの骨がありますが、具体的には打鍵の際に、つまり親指を除く4指はMP関節(先端から3つめの関節)が曲がって、指が鍵盤を押し下げるときに、弾く指に応じて、尺骨または橈骨に先端方向へのディレクションを与えます。

これはしなりを使った奏法の一部でもあります。

しなりを使った奏法については、アレクサンダーテクニーク教師かわかみ ひろひこ が推奨する、しなりを使ったピアノ奏法をご参照ください。

*** ここまで 2018年2月10日 追加 ***

*** ここから 2018年6月20日 追加 ***

さらに手首が固くなる原因は、1の指(拇指・親指)を動かす筋肉にも原因があります。

オクターブで指を開くときに、あるいは1の指で打鍵するときに、手内在筋を使うのが好ましいのですが、手首をまたぐ筋肉を使うと、手首が固くなります。

詳細は、アレクサンダーテクニーク教師が解説する、ピアノを演奏中に手首に力が入る、手首が固くなる理由をご覧ください。

アレクサンダーテクニークの原理を応用した『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』
アレクサンダーテクニークの原理を応用した『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』

*** ここまで 2018年6月20日 追加 ***

ようやく気づきました。

こうやって、1歩ずつ進んでいます。

具体的なワークは、アレクサンダーテクニークの原理を応用した拙著『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』(ヤマハミュージックメディア)にも、かなり詳しく書きましたので、そちらもご参照ください。

さらに深く学びたいから、できているかどうかお知りになりたい方は、レッスンをご受講くださいませ。

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アレクサンダーテクニーク教師かわかみひろひこのレッスン

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かわかみ ひろひこアレクサンダーテクニークの学校 代表
第3世代のアレクサンダーテクニーク教師。2003年より教えている。 依頼人である生徒さんへの共感力、課題改善のための活動の動きや言葉に対する観察力と分析力、適確な指示、丁寧なレッスンで定評がある。
『実力が120%発揮できる!ピアノがうまくなる からだ作りワークブック』、『実力が120%発揮できる!緊張しない からだ作りワークブック』(ともにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)の著者。
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