更新日 2013年12月12日

初出 mixi 2006年09月24日 08:02

 

動物の行動学の分野での研究成果により、1973年にノーベル医学・生理学賞を受賞したニコラス・ティンバーゲン(ニコーラス・ティンベルヘン)は、その受賞記念講演の後半をアレクサンダー・テクニークの紹介に費やしました。

 

下のノーベル財団のホームページで、全文よむことができます。

http://nobelprize.org/medicine/laureates/1973/tinbergen-lecture.pdf

 

音声つき動画もこちらで見ることができます。

 

ちなみに日本語版は、大きな図書館に行くと、読むことができます。

ノーベル賞受賞演説集 医学・生理学編13』講談社

 

このときのニコラス・ティンバーゲンさんの受賞記念講演はおもしろくて、受賞内容とは一見直接関係ないことを延々と述べています。

 

冒頭で「観察すること」の重要性を述べた後、前半は奥さんと一緒にやっている病院で自閉症の子どもたちの改善した症例を紹介しました(当時「自閉症」という病名がついていた病気は—今日では別の病名がついている病気もありますが、先天的な病気で、絶対に改善しないと考えられていたのです)。彼はお医者さまでした。

 

そして、後半ではF.M.アレクサンダーことフレデリック・マサイアス・アレクサンダーの発見(アレクサンダー・テクニーク)について、語り始めます。

 

彼自身と彼の奥さんと娘の1人がそれぞれ別の指導者のところに赴いてレッスンを受け(このあたりが科学者ですね)、その効果を述べています。

高血圧

呼吸

睡眠の深さ

全体的な陽気さや精神的な緊張

外からの圧力(プレッシャー)に対する弾力性などから

さらには弦楽器弾くという高度技術にまで

めざましい改善があったと。

 

ちなみに前半部分は、自閉症のこどもたちへのティンバーゲン氏と奥様の病院での治療経験を書いています。当時は自閉症はまったく改善しないと言われており、自閉症の人たちはそうでない人たちとはまったく異なるという見解が支配的でした。

 

そのなかにあって、同じ子どもがある病院では自閉症と診断されたのに、他の病院では別の病院ではまったく異なる病名で診断された事例を具体例を挙げて述べました。

さらに自閉症の人たちも、自閉症でない人たちとまったく異なるのではなく、ある部分が少し程度が大きいだけだと述べたり、あるいは接し方を変えることによって、かれらの振る舞いが変わったりすことこがあるを述べたのは画期的でした。

 

しかし一方で、自閉症の親冷蔵庫説(冷たいから子どもの病態がひどくなった)と、いささか思いやりと、それから彼の重視していた観察力の欠如の基づく誤解を述べました。彼は優秀な研究者でしたが、誤りを犯す普通の人でもありました。

 

久しぶりにノーベル財団のホームページを見たら、なんと映像と声が聞けるようになっていました。

http://www.nobelprize.org/mediaplayer/index.php?id=1584

 

 

 

コラムの目次はこちらに。。