演奏家の方たちの「あがり」や「緊張」による不具合の改善について書こうと思っていましたが、
書き終えたところ、演奏家だけではなく、すべての方に当てはまることが分かりました。
脳科学では、「情動」というものが人間には備わっていると考えています。
感情の基本的な部分だと思ってください。
この「情動」を構成するものは「快情動」と「不快情動」です。
食料を得るための「接近行動」は快情動、敵に対する「攻撃行動」や「回避行動」は不快情動
によって引き起こされると言われています。

この「不快情動」がどうやら、「あがり」や「緊張」に不具合に関係しているようです。
この情動を直接コントロールできれば話が早いのですが、それは不可能だと言われています。

しかし、この情動に影響を与える3つの要素というのがありまして、

骨格筋(からだを動かす筋肉・呼吸に使う筋肉)が適度な緊張と弛緩を繰り返しているか
内臓の状態
体内環境(内部環境):体内のホルモン・神経伝達物質・栄養の状態

です。

これらの3つの要素については、ある程度働きかけることが可能です。
そのプロセスと通じて、結果的に間接的ですが、情動に働きかけることは可能です。

少なくとも、骨格筋については、アレクサンダーテクニークを使って、状態を
改善していくことができます。

内臓についても、同様です。ただし、早く改善するためには、アレクサンダー
テクニークのみでは不十分で、内臓のボディマッピングを行うと、比較的効率よく
改善することができます。
ただし内臓のボディマッピングは、人によって効果がまちまちで、非常にすぐに
効果が現れる方と、何をしているのかさっぱり分からないという方に分かれます。
後者の場合でも、エクササイズの手順を続けていただくと、効果が現れる場合も
あります。

栄養に関しては、食事に気をつけていただくとして、もしコムラガエリによくなる方が
いらしたら(いわゆる「つる」というやつです)、カルシウムとマグネシウムを補います。
それでもだめだったら、一度お医者様に内臓の検査をしていただいた方がよいでしょう。

ホルモンは内臓から分泌され、神経伝達物質の一部は内臓から分泌されますので、
内臓のボディマッピングで間接的にですが、働きかけることができます。

脳内で分泌される神経伝達物質に好影響を与えらるとしたら、いかに自分自身を
信頼できるか、自分自身を追い立てないで、ご自分に余裕を与えることができるかどうか
ということに関わってきます。

「こころ」は脳の機能だから、ご自分に余裕が与えることによって、脳が変わることは
けっしてないと反論される方がいらっしゃると思います。
しかし、実際の生活の中ではいかがでしょうか? 「こころ」の持ちようがその後の人生
を変えたことは1度もありませんか?
フランスの認知科学者のヴァレラが、この「こころ」が脳に与える可能性について
書いていますので、ご興味をお持ちの方はヴァレラの本をどうぞお読みくださいませ。

なにか活動に入る前にご自分自身に余裕を与えること—アレクサンダーテクニークの
用語ではこれをインヒビション(抑制)と言いますが、言葉のイメージと内容に乖離が
あるので本を読んでも分かりにくいところです—これについてはレッスン全体
を通じてワークしてまいります。